筑摩選書<br> 哲学は対話する ──プラトン、フッサールの〈共通了解をつくる方法〉

個数:1
紙書籍版価格
¥2,200
  • 電子書籍
  • Reader

筑摩選書
哲学は対話する ──プラトン、フッサールの〈共通了解をつくる方法〉

  • 著者名:西研【著】
  • 価格 ¥1,980(本体¥1,800)
  • 筑摩書房(2021/01発売)
  • ポイント 18pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480016898

ファイル: /

内容説明

哲学は、「根源的真理」を問うものではない。その最大の目的は、一人ひとりの生き方と社会のあり方をよりよくすることであり、その方法は、プラトンが描くソクラテスにはじまり、フッサールの現象学にて真価を発揮した「対話」である。そうしてお互いが納得しうる「共通了解」をつくりだす哲学の営みは、分断が極まった現代において、人びとをつなぐ大きな可能性を秘めている。渾身の力を込めて、いま哲学の課題、目的、方法を問いなおす。

目次

はじめに──哲学と共通了解
凡例/第一部 「魂の世話」としての哲学──ソクラテスとプラトン
序 対話の文化
第1章 哲学はどうやって生まれたか──哲学と〈軸の時代〉
第2章 ソクラテスの生きた時代
第3章 魂の世話──『ソクラテスの弁明』
第4章 「~とは何か」の問い──『ラケス』
第5章 哲学対話の可能性
第6章 魂・国家・哲学・イデア──中期プラトンの思想
第二部 「合理的な共通了解」をつくりだす──フッサール現象学の方法
序 共通了解に向かって
第7章 二〇世紀哲学による「本質・真理」の否定
第8章 ギリシア哲学・幾何学・自然科学──共通了解をめぐる問題(一)
第9章 近代科学とともに生まれた難問──共通了解をめぐる問題(二)
第10章 現象学的還元と本質観取──現象学の方法(一)
第11章 現象学と〈反省的エヴィデンス〉──現象学の方法(二)
第12章 〈超越論的還元〉と認識問題の解決──現象学の方法(三)
第三部 どのように哲学対話を実践するか──正義の本質観取を例として
序 正義の本質を探究する
第13章 正義の本質観取──現象学の実践(一)
第14章 正義をめぐる問題と学説の検討──現象学の実践(二)
おわりに──哲学の課題・目的・方法
あとがき

資料
参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

禿童子

34
大急ぎでさらうようにして読んだので、簡単な印象で述べると、西研さんのフレンドリーなお人柄がしのばれる好著。できれば、巻末に近い「正義の本質観取」の哲学カフェの雰囲気を最初から出してもらえば読むのにこんなに難渋しなかった(笑)人はまず自分の経験と主観から物事に対する見方を持つ。人によって多種多様だけど、例えば「正義」に対する個々人の見方から共通要素がいくつか集約される。これを「本質」と呼ぶ。間主観的な方法論として現象学を利用して「共存」の道を探すというユニークな取り組みが哲学である、と読み取れた。2019/12/12

りょ

24
再読。やはり、これは相当な良書。間違いなく読み継がれなければならない、最高に良い本。 もはや《共通了解》が、《相対論》《独断論》を越えた、何か別のものに見えてくる。タイトルに『哲学』と書かれているが、難書ではない。わかりやすく、実践的である。著者の開くワークショップに参加したかった…。過去に戻って参加しに行きたいくらい。現代の日本の哲学者として竹田青嗣先生は有名だが、この方も相当有名な方。この2人は、調べると、関わりが深いらしい。「哲学の本何読めばいいか分からない」という人は、まずこれを読むと良いだろう。2020/04/04

りょ

21
大学の頃にこういう本に出会いたかった。むしろ今の大学生に読んで欲しい。この本を手引きに、グループを作って各々が決めたテーマに沿って《共通了解》を目指していく。そういうワークショップを開いたらきっと充実する。哲学という難解な学問を、ここまで有効なツールとして活用して分かりやすく説明している良書は他にあるだろうか? 大きなテーマは《共通了解》。皆が納得できる解釈。その面白さ、楽しさは、結論を出す事よりもその過程である。対話を通して、皆で一つの目標に向かっていく。これは議論でありチームワーク的取り組みでもある。2019/12/31

ほし

16
とても刺激を受けた一冊でした。ソクラテスープラトンの哲学と、フッサールの現象学を軸に、いかに哲学対話によって「共通理解」に至る道筋を作ることが出来るかが語られる一冊。そこでは独断論(=唯一の真理以外を認めない)と相対主義(=結局は人それぞれで分かり合えない)の衝突を乗り越える術として、お互いの体験に根差した対話による「現象学的還元」を行い、それぞれの人生の物語を形作っていくあり方が示されています。 そして、そのような対話的関係の経験こそが、人権や民主主義の実質化のためにも必須なのだと筆者は述べます。2020/05/31

ATS

8
★★★『事実はなぜ人の意見を変えられないのか』にデータを提示してもそれが自分の信じていることと相反するものであると人は反感を抱くことが指摘されている。代わりに共通点を探し、相手の信念を否定することなく目的を達することがよいことが示されていた。そこで共通了解の知識が有用そうであると思い本書を読むことにした。ソクラテスやプラトンをとり上げての哲学の課題と目的の確認、フッサールの現象学の方法、具体的な共通了解の作り方などが400頁越えで丁寧に書かれている。平易で自分のような初学者でも読めた(難しい所もある笑)。2019/11/05

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/14423541
  • ご注意事項

最近チェックした商品