内容説明
八州廻りに歪められた理不尽な晩年。大原幽学、無念の生涯――江戸末期、農民に性学の道を説いた大原幽学。貧しい農村を立ち直らせ、多くの道友が集まる。農民たちは協力して教導所「改心楼」を建てるが、その壮観さゆえに関八州取締出役から目をつけられる。事件を捏造され御白洲をたてられた幽学に、理不尽な晩年の日々が待ち受けていた。<『吾、器に過ぎたるか』改題作品>
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
文句有蔵
6
最初は面白可笑しく読んでいたが、途中からあまりにも幽学の品性下劣ぶりに嫌気が差しつつも、「この糞ったれにはどんな落とし前がつけられるのか」それを知りたくて完読。一介の無宿人となりて、自ら言う「下愚」以下として、身を律して生きよ、という結末だったら「ヨッ!名奉行!」と拍手喝采してやったのに( -_-) 尚当作品は「吾、器に過ぎたるか」の改題とあるが、これは天下の本田技研工業で辣腕を奮ったアノヒトを描いた「器に非ず」とナニカあっての改題か?と、邪推してみた(笑)2014/09/03
sai
3
八州回り、奉行所の木村など、私情で事をなす理不尽な役人たちには呆れるばかり… 2016/09/08
Hironobu
3
江戸末期に農民に性学の道を説いていた大原幽学の話し。貧しい農村を立ち直らせ多くの道友が集まり教導所を建てるが、、。事件を捏造され、理不尽な日々が待ち受ける。2016/06/27
山内正
2
常州新治郡に八州廻りが村長に 大原幽学なる浪人が村の百姓等を 集めて何やら教えるらしいが 如何な事やら聞きたいと問い質す 幽学は疲弊してゆく百姓等に今の苦境を乗り越えるため性学と言う 孝行を元にした生きてゆく術を百姓に身に付けて貰おうと言う教えが 八州廻りの役人等は百姓を先導する 不貞の輩として取り調べようと 曲解してお白洲に座らせ 無理にでも百姓等の弁明を阻止し 幕府の異端者として裁こうとする 現在では考えられない話2018/05/02
GaGa
2
異端なものに目をつけられるのはどの時代でも同じ。でもこの江戸時代で随分と大原幽学はお上にとって、面倒な存在であったのだなということが本書でわかりました。ただ、読み物としては少し凡庸な気がします。2010/05/03