エマニュエル・トッドの思考地図

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エマニュエル・トッドの思考地図

  • ISBN:9784480847539

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内容説明

時代の趨勢を見極め、その先を見通す知性をいかにして獲得するか。現代を代表する論客が、自身の思考の極意を世界で初めて語りつくす。完全日本語オリジナル。

目次

日本の皆さんへ
序章 思考の出発点
困難な時代
思考を可能にする土台
なぜ哲学は役に立たないか
混沌から法則を見いだす
思考とは手仕事
考えるのではなく、学ぶ
能力はだれもが平等
思考のフレーム
処理能力としての知性
記憶力という知性
創造的知性
機能不全に注目する
1 入力 脳をデータバンク化せよ
自分のなかに図書館をつくる
研究者とは旅人である
仕事にヒエラルキーはない
趣味の読書、仕事の読書
市民としての読書
研究は楽しくなくてはいけない
注に注目せよ
分野横断的に読む
カニ歩きの読書(二つの軸の交錯点
もう一つの補助線
準備としての読書
新たに学んだことを掘り下げる
元のテーマに立ち返る
隙間を埋める読書
着地点の見当をつける)
結論づける勇気
2 対象 社会とは人間である
社会から覆いを取り去る
社会を維持するための幻想
文学による探求
精神分析による観察
合理主義と経験主義
歴史に語らせる
すべては歴史である
3 創造 着想は事実から生まれる
「発見」とは何か
データ蓄積から着想へ
無意識での攪拌プロセス
アイディアにどう向き合うか
データの意味に気づく力
「普通である」という異常
思いつきをかたちにする
アイディアを妨げるもの
グループシンクの社会
リサーチから発見へ
自分の発見に驚く
予想外のデータを歓迎する
自信がなければ何も生まれない
誰かに評価してもらうこと
4 視点 ルーティンの外に出る
虚偽意識に囚われた人々
現実を直視する条件
英語で読む利点
アウトサイダーであれ
外の世界へと出る経験
外在性のつくり方
古典を読む意義
比較という方法
別の世界を想定する
機能しすぎる知性はいけない
別のかたちで刺激を与える
5 分析 現実をどう切り取るか
アナール学派の弱点
社会を観察する目
今現在から逃れること
分析の時間的尺度
過去から未来を考える
歴史学、統計学との出会い
歴史統計学の考え方
データの背後には人がいる
現実にはいくつもの描き方がある
相関係数から読み解く
機械のように検証する
統計学的想像力
6 出力 書くことと話すこと
社会への発言
怒りに基づく介入
書くことは苦手
友人を説得するように
書きながら考えない
ディクテーションという方法
章立てはチェックリスト
7 倫理 批判にどう対峙するか
学術界からの反感
思想というバイアス
同調圧力に抗う
価値観ではなく知性の戦いを
学者としての私、市民としての私
研究結果に忠実であれ
フォーマット化される知性
複数の自己
最悪の事態を予期できないわけ
批判を受けるという特権
8 未来 予測とは芸術的な行為である
ウイルスが明るみに出したもの
家族構造との関係性
現実には服従せよ
進行中の危機を思考する
歴史という補助線
ポスト・コロナを予測する
思考から予測へ──三つのフェーズ
芸術的行為としての予測
ブックガイド

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Willie the Wildcat

83
データの背後に「ヒト」。これが冒頭に語られた著者の考えの軸と解釈。キーワードが、外在性。「カニ歩き」や古典も、もれなくその一環。同時に、社会の閉鎖性が齎す思想に警鐘。ノルマンディー上陸祝賀会は、歴史歪曲の一例。現代教育への問題提起も、新鮮味がない点が、その課題の根深さを示す。本質の忘却也。一方、著者が冒頭でサラリと触れた日本の特殊性。崩壊/無傷の”矛盾”。これをいつかは、データで語って欲しいかな。なお、『思考の見取り図』は、振り返りに一助。因みに、COVID-19の予想に、目新しさは無い気がしました。2021/03/07

ミライ

43
ソ連崩壊やイギリスのEU離脱などの予測を的中させたという歴史人口学者のエマニュエル・トッドが自ら思考の極意をまとめた日本語オリジナルの一冊。読みずらいかなと思ったがそんなことはなく、トッドがどのように情報を得てどのように考えどんな形でアウトプットするかが詳細に語られる(冒頭で哲学は役に立たないといっているのが印象的)。最後の方で、ポストコロナ時代の日本についての予測が書かれている。2021/03/14

Y2K☮

42
著者の思考プロセスを追体験できる名著。私も連鎖していく読書をベースに考えを広げていく人間なので、とても励みになった。現状をエイズの発生時と比較する人は初めて。完全に盲点。ソ連崩壊やEUの失敗を予見できたことも含め、人口学者として各国の歴史を学び続けているからこその発想か。日本のコロナ対策の問題点と未来予想図に戦慄。69歳で自ら「リスクグループにいる」と認める著者の「若者を犠牲にはできない」という言葉は重い。いまの日本でこんなことを言えば炎上必至。批判やリスクを恐れずに真実を語る姿が小林よしのりと重なった。2021/01/11

速読おやじ

40
著者の思考の方法を体系的に書いているのかと思ったら、話はあちらこちらに飛び、著者の体験やエピソードも盛り込まれながら、エッセイ風に話は進んでゆく。入力ー思考ー出力という一般的な思考の流れの中で、特に膨大な入力が必要と説く。入力には読書(拡散的な読書のイメージ)、経験も含まれるが、とにかく膨大な入力が必要なようだ。そして分析。データに基づいて相関や回帰分析をすることも示唆している。過去から未来を予測するとの立場を取る。物事を考えるためのヒントになる書。2021/06/15

Y2K☮

36
昨年のランキング1位を再読。独りで全体主義と戦える思想家は小林よしのりと著者ぐらいか。歴史に学ぶとはまさにこういうこと。どれだけ本を読んで過去を知っていても、その知識をいまの社会で蔓延る欺瞞を見破るために使えなければ学ぶ甲斐がない。著者がコロナとエイズを比較したように、日本は薬害エイズや森永ヒ素ミルク中毒事件とmRNAワクチンを比べるべきではないか? そして「若者を犠牲にはできない」という69歳の著者の言葉を噛み締めないと。政府や自称専門家やマスコミの言うことを鵜呑みにせず、自分でデータを調べて考えよう。2022/01/01

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