内容説明
西郷隆盛、坂本龍馬、小村寿太郎……人と歴史を巡る西国の旅。
葉室史観の集大成
歴史の敗者に注目し、数々の小説を世に送り出してきた著者。
本書は最晩年に、古代から近現代まで
数多の天災・戦いをくぐり抜けてきた西国を歩いた記録である。
西郷隆盛の鹿児島、遠藤周作の長崎、石牟礼道子の水俣。
絶望が祈りへと変わる時に文学が立ち上がる。
歴史紀行にして葉室麟作品への最高のブックガイド。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
84
葉室さんによる、主に歴史に関係ある土地を巡り歩いた感想を集成したものだといえるのでしょう。ご自分のテリトリーである西国中心のもので、司馬遼太郎の「街道をゆく」を意識されたものだという気がしました。その場所に関連あるご自分の敬愛する作家などについても述べられていています。葉室さんと同行された朝日新聞記者のあとがきや娘さんの思い出等も掲載されています。2024/03/26
coldsurgeon
7
曙光とは、暗黒の中にわずかに現れ始める明るいきざしである。没後6年の葉室麟氏は、大好きな歴史時代小説作家だった。彼が歴史を見つめ、葉室史観ともいうべきものを提示した旅行エッセイを読んだ。近代の闇から放たれた曙光によって次代の形を浮かび上がらせる力のある彼の小説を思い浮かべる。歴史の中の、ついつい「輝かしい記憶」に縋りつく衝動を克服して、物語を読み解かなくては、と思う。誰かの健康を害してしか成り立たぬような文化生活であるのならば、その文化生活をこそ問い直さなければならない、と。2024/03/18
Mituya Hasegawa
1
葉室麟さんの小説の背景がよく見える。 そんな歴史紀行。 葉室麟さんの小説が無性に読みたくなりました。📖 2024/02/29