キングコング・セオリー

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キングコング・セオリー

  • ISBN:9784760152483

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内容説明

「私はケイト・モスというより、キングコングみたいな女だ。誰も妻にしたり、一緒に子どもをつくったりしないタイプの女。常に自分自身でありすぎる女。そういう立場から私は話している」

■概要

#MeToo運動をきっかけに再注目され、フランスで20万部のベストセラーとなったフェミニズムの名著がついに邦訳!

人気女性作家が17歳の時に経験したレイプ被害と、その後の個人売春の経験をもとに、性暴力、セックスワーク、ポルノグラフィについての独自の理論を展開するフェミニズム・エッセイ。自分自身を、男性でも女性でもないカオスな存在としての「キングコング」にかさね、ジェンダー規範にとらわれない女性の在り方を、力強く、小気味いい文体で模索していく。

目次

章タイトルと引用

第1章__ バッド・ガールズ
「私はブスの側から書いている。ブスのために、ババアのために、男みたいな女のために、不感症の女、欲求不満の女、セックスの対象にならない女、ヒステリーの女、バカな女、「いい女」市場から排除されたすべての女たちのために。」(本書10頁)

第2章__ やるか、やられるか
「全能の国家は、私たちのためだといって、私たちを幼稚化し、ありとあらゆる意思決定に干渉する。そして私たちを守るという名目で、私たちを無知な子供の状態、制裁や排除を恐れる状態にとどめようとする。女を孤立させ、受け身にさせ、消極的にさせるすぐれた道具である〈恥〉を利用して。」(37頁)

第3章__ 堕落しきった女をレイプすることはできない
「あの夜、私は私の性別におしつけられている規範から外に出て、やつらの喉をひとりずつ掻き切ってやりたかった。女だから、暴力は女のやることじゃないから、男の体が無傷であることは女の体がそうであることよりも重要だからという理由で抵抗しない人間として生きるよりも。」(61頁)

第4章__ 敵と寝る
「女が合意し、きちんとした報酬が支払われる場合、男の性欲それ自体は女に対する暴力にならない。暴力的なのは私たちに対しておこなわれる管理の方だ。つまり、私たちのかわりに私たちにとって、なにがふさわしく、なにがそうでないのかを決める権力の方である。」(115頁)

第5章__ ポルノは暴く
「私の性欲は複雑だ。性欲が私に教えてくれることは、必ずしも私の気に入るわけでなく、私がそうありたいと願うあり方と常に一致するわけでもない。それでも私は、私の性欲について知りたい。安全な社会的イメージを保つために目を背け、自分について知っていることを否定するかわりに。」(125頁)

第6章__ キングコング・ガール
「キングコングはオスともメスともつかない、人間と子ども、善と悪、原始と文明、白と黒のあわいの存在を体現している。男女の性別二分法が義務づけられる前のハイブリッド。映画の[髑髏]島は多様な、きわめて強力なセクシュアリティの可能性を示している。」(152頁)

第7章__ 女の子たち、さようなら。よい旅を
「フェミニズムは女性、男性、それ以外の人々がみんなでする冒険だ。現在進行形の革命。世界の見方、選択。女性のちっぽけな特権を男性のちっぽけな既得権と対立させるものではなく、それらすべてを捨て去ることなのだ。」(198頁)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

R

37
「女性」という概念について、現代社会が求めるもの、認めるもの、その事実と状況を説明し、強制される憤りを表明した舌鋒鋭い一冊でした。著者の生き様、根幹にパンクがあるので、強い意志を感じるのだが、そのバックボーンに辛い経験もあったりするようで、男性的と呼ばれる思想下にある人々による、言動や思考による弾圧というものへの反発、その理不尽への反抗を読むことができる本でした。2021/05/03

サルビア

18
冒頭の文章に惹かれて読み始めたが、物語ではないので中々読み進めることが出来なかった。17才の時にレイプされた著者は後に娼婦になる。レイプ被害者であるのに世の中ではレイプされるような状況に自分を置いたのが悪いとされ、娼婦でいた時は利用する側の客は非難されることなく、提供した側の娼婦はその仕事内容を人に明かせないし、明かしたところで非難されるべき存在になる。そんな世間の不条理に映像で、音楽で文筆で真っ向から対峙したのがこの著者である。これは女性しか分からないことが多い。2022/09/11

katoyann

17
フランスの作家によるフェミニズムのエッセイ。過去のレイプ体験や売春経験を赤裸々に綴っている。特にレイプ被害に関する記述が生々しい。殺されそうな状況にあり、顔を殴られて、その後も被害について口に出してはいけないのではないかという思いに囚われていたという。 セックスワークの是非やポルノグラフィの功罪まで軽妙洒脱ともいえる筆致で分析してみせるのは作家の腕と言えるだろう。なお、キングコングは実は中性で女性に優しい怪物らしい。知らなかった。タイトルにはそういう意味で性の二項区分に対する批判の意味があるらしい。2023/10/24

くさてる

15
フランスの女性作家によるフェミニズムエッセイ。「女らしさにおける最下層民(プロレタリア)として、私は話している。今までもそうやって話してきたし、今日もまたそうやって話す」力強い、厳しい、強い言葉で、当たり前のことを語っている気がする。良かったです。2020/12/12

marumo

14
強烈なフェミ本。怒りに満ちてた。以前読んだ本でもフランスって意外と父権主義社会なのね、と思ったんだけど、そういうことも関係あるのかしら。なんかもう、自分も知らず知らず女性の足を引っ張ってんじゃないか、とビビってしまった。たまにこうやってガツンと来るものを読むと考えるキッカケになるなぁ。とはいえ、正直実感としてはあまりピンと来ず、自分ってぬるいんだなと妙に後ろめたく感じたのでした。2021/01/26

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