内容説明
■目次
第1章 似て非なるもの=荷物・貨物輸送
第2章 複雑怪奇な輸送の仕組み
第3章 一筋縄ではいかない動物輸送
第4章 変わった貨車と特大・長物輸送
第5章 鉄道は文化も運んだ
第6章 貴重品輸送は気をつかう
第7章 鉄道と不可分だった郵便輸送
第8章 異常時に発揮される鉄道の底力
■著者紹介
和田 洋(わだ ひろし)
1950年生まれ。神奈川県藤沢市で東海道本線の優等列車を見ながら育つ。1974年東京大学文学部卒。新聞社勤務を経て現在は会社役員。子供のころから鉄道車両、特に客車を愛好し、鉄道友の会客車気動車研究会会員。著書に『「阿房列車」の時代と鉄道』『客車の迷宮』(交通新聞社)など。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Roko
33
鉄道が様々な物を運んでいたことは知っていましたが、この本で初めて知ったのは、亡くなった方のご遺体を運ぶときは貨物として扱うということです。東京駅で暗殺された原敬首相は、特別車両で盛岡へ運ばれました。ベッドを車両に持ち込んで病人を運ぶときは二人分の運賃、死体輸送の場合は二人分の運賃+小荷物扱死体運賃という規定があったとは、ビックリです!2021/02/27
まるほ
29
私は鉄道好きですが、その中でも貨物や荷物・郵便等の“旅客ではないもの”に興味を魅かれます。今でこそ貨物輸送はコンテナが主流となり、その他はタンク車がある程度に画一化されてしまいましたが、鉄道貨物が全盛期の頃は、様々な種類の貨車が雑多な編成を組んでいるのを興奮しながら眺めていたものでした。▼本作は鉄道の黎明期から現在に至るまでを網羅した上で、貨物、荷物・郵便輸送の全盛期を踏まえて解説するもので、とても参考になります。▼稚内発京都行の荷物車が途中何度も継走されつつ7日間かけて往復する、なんて興奮しませんか?2021/06/06
六点
12
著者は同レーベルで『客車の迷宮』があり、現金輸送車や郵便輸送などと重複している部分が多い。貨物や小荷物(ゆうパック)そして貨物輸送と、鉄道は陸運の王であったのだ。軍事輸送も重大な任務であったのだが、それに関しての記述は、著者の興味が薄いのかコラム程度しかない。国鉄と中小私鉄との、貨物連帯輸送が、国鉄改革に拠って殆ど行われなくなったことに拠って、急激に地方私鉄の経営が悪化したことは、まぁ、別のお話か。郵便番号が鉄道輸送系によって付番されていたことなど、もう、トリビアの世界なのか。滅びたものはなべ美しい。2021/03/23
tokumei17794691
7
・国鉄時代の話が中心で、そこが興味深かった。・イマイチよく分からなかった、鉄道の「荷物」と「貨物」の別がはっきりした。・西日本豪雨はじめ、最近の災害時の輸送(特に貨物)は、非常時の迂回路としてのローカル線存在意義啓発を含めて、もっと詳述すべきでは? ・同著者・同レーベルの『客車の迷宮』との重複が多かったのは残念。・せっかく鉄道郵便輸送に1章当てているなら、「鉄道小荷物」と「郵便小包」のサービスの別を詳述してほしかった。「郵便小包」は、現在の「ゆうパック」なので想像は付く。が「鉄道小荷物」はよく分からぬ。2021/02/24
月猫夕霧/いのうえそう
6
鉄道貨物だけでなく、小荷物も含めて鉄道で運んだものをまとめた本です。貨物はともかく荷物は1970年代までは宅配便も無くて利用したこともあるのに、まとまった話を初めて読んだ気がしますし、参考になりました。それにしても狭い車内で仕分けをしながら荷物が進んでいくのは、大変そうで、郵便小包や宅配便に取って代わられるのも納得です。2021/12/17