内容説明
祖母の死を機に幼馴染の一郎の勧めで、老人たちの「遺影写真」を撮り始めた素人カメラマンの結子。思い出の地で撮影するサービスは評判になるも、思い出を美化する者や をつく者、亡くなった人と一緒に撮りたいという者まで現れて……。1枚の写真をきっかけに止まっていた時間が動き出す。生きることの愛しさと切なさにフォーカスした感涙小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
174
「これは遺影写真じゃなくて、思い出写真やね」古い団地に住む独居の和子80歳の言葉だ。育ててくれたたった一人の祖母の死をきっかけに素人カメラマンとして再生していく結子。それは過疎化が進み団地に住む老人たちのこれまでをも浮き彫りにする作業にもなった…自分の遺影を前もって用意している人は少ないよね。独居の老人なら尚更に。私とていつか来る独居の母のその用意は無い。残った者のイメージの写真と、逝く者の残したい写真は違うかもしれないが、出来ればピッタリ合う一枚を用意したい(泣)2020/12/02
のんき
86
結子は、祖母の死をきっかけに、故郷に帰り、お年寄りたちの「遺影写真」を撮り始めます。でも、みんな遺影写真と聞いただけで、縁起でもないと断ります。で、考えて、みんなのおもいで写真を撮ることに。やっぱり遺影写真よりもおもいでの写真の方がいい笑顔になれると思います。結子は東京でメイクの勉強もしてたので、メイクした綺麗な顔で写真が撮れるのも嬉しくなります。門前払いしていたお年寄りたちとの距離が、縮まって親しくなっていくのもよかったです。撮った写真が遺影写真として使われて、本人もきっと満足だって思う。 2020/12/28
Willie the Wildcat
65
夢破れて帰郷した祖母の写真館。表層的には淡々と、しかしながら心底では悶々とした日々の主人公の再生の過程の凹凸に現実感。加えて、遺影の”見直し”を通した限界集落化した団地や、住人の変化にも光。『おもいで写眞』、アリですね。一方、頭ではわかっているつもりの主人公の設定も、周囲の脇役の面々が大人な分だけ、主人公の幼さに、時にイラっとしたことを認めざるを得ない。そんな私も、まだまだ幼いということなのだし自省。2021/10/09
えみ
58
思い出の前で、人は何倍も何十倍も美しくなる。長く生きていれば楽しいだけでなく、辛く悲しい日々や苦労が絶えない毎日もあったであろう。そんな高齢者達が最後に残したい“おもいで写眞”に選んだそれぞれの場所とは。一人一人が選んだ場所のエピソードや想い入れが戻れないはずの時間を巻き戻して、心の底から好きだと感じていた瞬間に連れて行ってくれる。祖母の死に悔いを残した結子が素人でありながらも高齢者達の遺影写真を撮るため彼らにカメラを向ける事から始まった優しい奇跡。たった一枚の写真が語りかけてくれる「過去と未来」に感動。2022/04/23
かおりんご
22
小説。友達からもらった。うーむ、お年寄りの思い出の場所で写真を撮るという発想は素敵だけど、主人公の性格が幼すぎてついていけなかった。残念。2023/11/10
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