岩波少年文庫<br> トムは真夜中の庭で

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岩波少年文庫
トムは真夜中の庭で

  • ISBN:9784001140415

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内容説明

知り合いの家にあずけられて,友だちもなく退屈しきっていたトムは,真夜中に古時計が13も時を打つのをきき,昼間はなかったはずの庭園に誘い出されて,ヴィクトリア時代のふしぎな少女ハティと友だちになります.「時間」という抽象的な問題と取り組みながら,理屈っぽさを全く感じさせない,カーネギー賞受賞の傑作です.

目次

1 家を遠くはなれて┴2 大時計が十三時をうつ┴3 月の光のなかで┴4 日の光のなかで┴5 露のなかの足あと┴6 ドアを通りぬける┴7 ピーターへの報告┴8 いとこたち┴9 ハティ┴10 いろいろな遊びといろいろな話┴11 川は海へそそぐ┴12 ガチョウたち┴13 今はこの世にいないバーソロミューさん┴14 辞典をしらべる┴15 塀の上からの眺め┴16 木のなかの家┴17 ハティをさがしもとめる┴18 窓に横木が二本わたしてある寝室┴19 つぎの土曜日┴20 天使のことば┴21 いつも「時」のことばかり┴22 約束を忘れる┴23 スケートの旅┴24 トムとピーターがひょっこり顔をあわせる┴25 最後のチャンス┴26 あやまりにいく┴27 トム・ロングにきかせた話┴訳者のことば┴「真夜中の庭で」のこと フィリパ・ピアス┴スーザン・アインツィヒ絵

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェルナーの日記

435
子供の頃、夜更かしは何となく背徳な感じがして魅力的だった。たぶん少しだけ大人の気分を味わうことが楽しかったのだろう…… 本作の主人公トムは麻疹から逃れるためロンドンの実家からおじさんの住むカースルフォドへやってくる。おじさんの住むアパートには大きな古時計があって大家のバーソロミュー夫人が管理しているのだが、なかなか寝付けないトムは、ある日その時計が深夜に13回の鐘を打ちことに気が付いた―― 本作品は児童文学の位置づけでありながらも、広義の意味においてタイム・スリップを扱った良質なSF作品といえるだろう。2019/04/30

ヴェネツィア

248
久しぶりに再読。しばしの間、2つの時間を同時に生きたトム。イギリスのヴィクトリア朝時代の庭園を舞台に、現代に生きるトムの精神の成長を描く。いかにもイギリスらしい作品。2012/02/12

ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

184
鳴るはずのない13回の鐘を時計が告げて、扉を開けるとそこは美しい庭園だった。はぁ…なんてぜいたくな始まり。物語はこうでなくちゃ♡ 大きな出来事も少なく魔法使いも出てこないけど、家人が寝静まった後そっと扉を開くといつでも待っている裏庭の世界があかるくて美しくて、トムの成長もじんわりと感じさせられてとてもよかった。晴れた夏空、美しい花たち、凍結した川をお揃いのスケート靴で遠くまで駆けるシーン。目に浮かぶ情景が美しく楽しい。また読み返したい作品です。2019/10/31

Die-Go

137
読友さんからのお勧め。図書館本。流行り病のはしかにかかった弟からの感染を防ぐため、叔父叔母宅に夏休みの間滞在することになったトム。つまらない生活を送ることになったかと思いきや、その家には夜中になると見当違いの時間が鳴る大時計があり、その音に導かれるままに、裏口を出てみるとそこにはないはずの中庭がある。そこで出会った少女との時空を越えた友情の物語。子どもの頃に読まなかったことを激しく残念に思う傑作!★★★★★2020/06/13

neimu

135
子供の頃、何度も繰り返し読んだ。図書館の本だった。大人になって本を手に入れた。そしてオクタゴンのあるイーリーの大聖堂に行った。30歳だった。子供の頃に読んだ本は永遠に特別な時間を刻み続ける。少年が少女に出会ったように、真夜中の庭は誰の心の中にもある。会いたい人がいるかどうかは別だが(笑)。私は平凡な人間だけれど、物語の中の景色を見たいという気持ちを忘れることはなかった。それが実現するのはいつの日かわからないけれど、全てを知ることも訪れることも叶わないけれど、心の中に秘められた永遠の時間を誰もが生きる。

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