内容説明
菅新政権の外交マシーンが動き出した。烈しい米大統領選を経て米国の対中姿勢は、一段と厳しさを増している。菅政権は、日米同盟を基軸に据えて、「習近平の中国」と対話をと目論んでいる。だが、北京は安倍政権のキングメーカーにして対中宥和派、二階俊博幹事長を通じて日米同盟に楔を打ち込もうと布石を打ちつつある。菅総理は、安倍辞任の空白を埋めて、緊迫の東アジアに戦略上の安定を創りだせるのか。知られざる「菅機関」の内実を明らかにしつつ、菅政権の前途に立ちはだかる懸案を読み解いていく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kawa
36
日米のリ-ダ-が交代する時期、論客のお二人が東アジア情勢を中心にいつもの通りの深くて「あっ、そうか」という納得感の高い議論を展開する。安倍辞任による戦略上の空白を菅機関がカバ-できるか、親中の二階幹事長と如何に調整するか、米ロ関係と米中関係の違い、台湾は「21世紀のベルリン」日本も当事者、与那国島の戦略的重要性等々刺激的な話題が目白押し。2021/01/09
ta_chanko
20
米中危機は思ったよりも深刻。台湾海峡・南シナ海・東シナ海でいつ偶発的な武力衝突が起こってもおかしくはない。その時は日本も当事国としての決断を迫られる。そのような事態にならないためにも、日米豪印+ASEAN諸国と連携を深め、中国の海洋侵出を牽制していくことが不可欠。ロシアとの関係強化や北方領土問題解決もチャンス。中国による日米離間工作にも注意。アメリカは共和党トランプ政権のリアリズム外交から、民主党バイデン政権のイデオロギー外交に変わったことも懸念材料。2021/04/03
羊山羊
14
注目はバイデン氏と中国の行方。2人の対談ではアフターコロナが口の端に出るが、それは米国の方で中国は依然と変わらずその帝国主義を緩める気配はなさそうだ。印象深かったのは中国という国のシステム性。習金平氏という個人が独断で振る舞うのではなく、共産党が法を以て人民を統制する法制国家+帝国主義的側面が強いというお話。これはこれからの中国文学や政治を読む上でも重要となる指摘のはずだ。そして、トランプ氏が米国から奪った米国の理念を取り戻せるか、という所にかすかな緊張のにじむ対談だった。2021/01/24
こちょうのユメ
10
この対談は2020年に行われたものだが、いまでも十分通用する。手嶋はレーガン大統領について、アメリカ国民をひとつにまとめ上げた、人間的魅力を持つリーダーとして評価。トランプ大統領を異形のリーダーとして位置づけ、自由の理念をまったく信じていなかったとする。佐藤はロシア共産主義の本質は、ロシア正教の異端にみられるメシア思想だと考える。習近平政権を、国益を極大化しようとする帝国主義国家の典型と分析。台湾有事や北方領土問題では、日本はどんなに苦しくても、外交で危機を未然に防ぐことが大切だという。うーむ納得。⤵2024/04/13
sakadonohito
9
菅政権誕生後バイデン就任前の時期の対談。大半は話の前提のためか古い時代の話をしているのでタイトル詐欺っぽく感じた。印象に残ったのは手嶋氏が李登輝総統にインタビューした時の話で「次の台湾海峡危機の時は日本が当事者」と語っていたという話。世界には中共の本質は帝国主義と看破している人もいたが、アメリカの政権中枢は表向きのマルクス・レーニン主義の方を信じてしまっていた人が多かったため、対応を見誤ったということのようです。2024/10/07
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