内容説明
何だ? これは!? 岩の上にミニチュアが! ベトナムのヘンな「盆栽」の謎を探る紀行エッセイ――「仮にも一国の伝統文化が、こんなおもちゃのようなマヌケな感じでいいのか!」…ベトナムに旅した著者の琴線を揺さぶった、「ヘンな岩」ホンノンボ。それは、山か島のようで、家や人物のミニチュアがのっており、水を張った鉢のなかにある。もっともっと多くのホンノンボに出会いたい。幻の傑作紀行エッセイ。
◎「私も宮田さんの真似をして、ホンノンボの中に入ってゆきます。まずは自分が、ミクロの決死圏のように小さく縮んだことを想像します。そうしてホンノンボの中にぴょんと着地してみます。すると水盤上の岩石は、あたかも中国の高僧が描いた水墨画の幽玄の世界に感じられます。なるほどなあ。」<浅生ハルミン「解説」より>
※本書は2007年2月、ポプラ社より刊行された単行本に加筆訂正したものです。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
pino
136
ベトナムのホンノンボに、ワクワクした著者がさらなる桃源郷に出会うため旅をしまくる。面白い形をした岩がミニチュア付きで水を張った鉢に収まっている。それがホンノンボ。ミニミニ人間になって探検したくなる、不思議な盆栽。やっ、待ってくれ。過度の肩入れは危険だ。チラリラ・チラリラ・・普通の世界に戻れなくなったらどうする。トワイライトゾーンはゴメンだ。妙にゾクゾクし始めた。著者がのめり込むほど、1ドン、100ドン、一億ドンと引いて距離を保つことにした。でも、著者の目の付け所は流石。ワクワクかゾクゾクかは、あなた次第。2013/02/18
ホークス
41
ホンノンボは、鉢などに水を張って岩山を置き、ミニチュア陶器の人や建物、小植物を配した盆栽サイズのジオラマで、ベトナムではよく見られる。岩山は起伏に富んで洞窟もあり、ミニチュアのアバウトさがほのぼのした風情を醸し出す。ホンノンボの「別世界トリップ」の悦びにカラー写真で触れられるのが嬉しい。日本(日本人)の芸術観にある取り澄ましや勿体ぶった所がない、と言われてドキッとする。著者は中国の盆景も見に行くが、日本の盆栽同様、「本気過ぎ、芸術過ぎ」で楽しめない。著者だからこそ書ける不思議な桃源郷のお話である。2018/03/05
saga
27
著者の他のエッセイの中でも紹介されていたベトナムの盆栽・ホンノンボ。はじめはホンノンボにしてもジェットコにしても読む気はなかったのだが、著者に心酔するうちに読みたくなった。著者の視点の面白さを再確認した。2014/04/25
ふろんた2.0
21
ベトナムの盆栽ではなく盆景のホンノンボ。本書がなければ、表紙の箱庭のようなものに名前があるとは誰も気づかなかっただろう。ベトナムの雰囲気とホンノンボ鑑賞の旅のせいか他著と比較してのほほんとしています。2016/01/10
かやは
13
ベトナムの盆栽ホンノンボ。山や緑が多く水も澄んでいる日本とは異なる環境であるベトナムでは、中国由来の盆栽もまた違った進化を遂げていた。何処かゆるくて、適当だけれど、洗練されていないがゆえのワクワク感に溢れている。ホンノンボを通じて著者が語る「秘密にたどり着けないことが面白さの条件」という言葉に納得できた。わかった瞬間、手に入れた瞬間、それは色褪せ新鮮味が無くなってしまう。「面白い」ということは「知らない」ことに限りなく近い。2017/01/21
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