内容説明
性を語ったら嫌われる? 伝えたいのに言葉にできない心と体のこと
私立和光高等学校退職後、一橋大学、津田塾大学、東京女子大学非常勤講師として、約3万人の大学生に「人間と性」(ヒューマンセクシュアリティ)をテーマに講義を行った村瀬幸浩氏。本書は、当時学生に話した中身を要約して紹介しながら、学生たちがその講義をどう聴いたのか、学生のリアルなレポートを元にまとめた「恋人とつくる明日」(2006年発行)を、再編集・追加取材を行い1冊にまとめたものです。
大学生たちの声は、今読んでも共感できるものばかり。性のはなしはSEXだけではなく、心と体のことはもちろん、恋人たちにとっては日常と切り離せない自分の思いを語る大切なコミュニケーション。けれどもお互いに性を語る言葉をもっていないのが現状です。
パートナーと一緒にいるのに、いま『嫌なこと、痛いこと、不快なこと、よくわからないなぁな時間』を感じている人に。
コロナ時代のコミュニケーションに悩んでいる人に。
当の本人だって実はほとんどが知らない、複雑なからだ・性の仕組みを学び
性について語る「言葉」を持つことで、大切な人との関係性は変わります。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
45
「大学生に性教育って必要ですか」著者はそう聞かれることもあるという。けれども、この受験社会でどのぐらいの人が性教育をきちんと受けて大学生になったのだろうか。みんな自分で試行錯誤しながら自分の性欲やパートナー探し、関係の持続に取り組んでいたと思う。それは自然だけれど、同時に危険な時もある。高校・大学女性のセックスへの意見データは興味深かった。彼女に性行為を強制しているのに「暴力はふるっていない」という男子生徒の話も。大学生に性教育、必要だと思います。社会人になったらエラーしてる時間減るし…。2024/06/10
katoyann
20
大学で行ってきたセクシュアリティ教育の授業を受講した学生のリアクションペーパーを紹介しながら、性愛に関する思い込みについて正しい知識や考え方を解説した本である。意外だったのは、若い人たちの間では、コンドームを常時使用しているという割合は4割程度だということだ。膣外射精をしても妊娠のリスクはあるということを多くの若者は知らない。また、その背景には男性優位の性意識がある。男性は性行為における攻撃性をメディアや周囲の環境で学習してしまい、さらに女性に対する優越意識も学習してしまう。だから女性に配慮できないのだ。2022/08/06
三井剛一
15
こういった類の本を読むこと自体、どこか恥ずかしさがあった。しかし、そう思っていたことが、いかに馬鹿馬鹿しいことかを思い知った。 無意識にある「〜らしさ」の固定概念を捨て、その人の個性に目を向ける。「男らしさ」を勝手に自分に求めて悩んでいたのが不思議になる。それと同時に「女らしさ」を無意識に求めていたことに気づく。異なった環境で育った男女では、異質性があるのは当然。異なった価値観をいかに興味深いものとして捉えれるか。実際は、難しいものだと思う。 身体的な性の話だけでなく、幅広く「性」について知れてよかった。2023/09/05
テツ
10
肉体的な性差とそれを踏まえた性交渉について。セックスは文学のテーマにもなり、ほぼ全ての人間が体験するだろうに、そのときに気をつけなければならないことを語り学ぶ機会はほぼないよな。おそらく一般平均と比べたらその手の欲がかなり薄いという自覚があるし、人生でそれが重要なテーマとなった覚えもないが、誰かと繋がり重なる前に、きちんと肉体と精神の違いを知識として学んでおくことは大切なんだろうなとは思う。避妊具の使用も、自分たちにはない肉体のシステムについても、知らなければならないし、教えなければならない。2023/02/20
ryo
8
こんな授業が受けられる大学生は羨ましい!2023/03/30