内容説明
一九四五年八月、ソ連軍の侵攻から逃れるため、満洲から多くの日本人が北朝鮮に避難した。飢え、寒さ、伝染病。本土終戦の日から始まった地獄の難民生活で、人々は次々と命を落とす。国はなぜ彼らを棄てたのか。世界史の中でも稀に見る悲惨な難民だった彼らの存在は、なぜ黙殺されたのか?「戦後史の闇」に光を当てた本格ノンフィクション。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かめりあうさぎ
24
終戦直後、満州にいた民間人は文字通り国に見捨てられ難民となった。どうして自国の重大な歴史を私は知らないのだろう。シベリア抑留のことも杉原千畝氏のことも本で知ってきたのに、どうしてこのことはここまで知らずに来てしまったんだろう。我先にと逃げ出した関東軍も唾棄すべき存在だけど、難民になった民間人に対してどこまでも傍観者だった日本政府も許せない。自分たちが守るんだという気概が一切ない。脱出道中で命を落とした多くの人々の遺体を回収する気配はいまだになく、当事者の死をもって風化するのを待っているかのよう。2021/05/25
ぱむりん
2
重たい話だった。 けれど、忘れてはいけない戦争のこと。 2024/04/15
ひゃく
0
4/8~ 藤原てい著『流れる星は生きている』と比較してしまって、いまいちのめり込んで読めなかった。 物語要素が少なく事実の羅列が多かったのも一因だと思う。 とはいえ凄惨な難民生活であったことに変わりなく、終戦関連の書籍を読むたびにソ連の参戦を腹立たしく思ってしまう。 そもそも不可侵条約を破棄できるっていうのは、条約の意味を成してるのかな。 戦争だから仕方がないかも知れないけれど、それを見越しての不可侵条約だという気もするし。 破棄した側にペナルティが課されない限り、条約(契約)の意味がないように思う。2021/05/03
kzm
0
大変悲惨な記録。また、悲惨な状況下でしっかりと記録をとっていた当事者に感服する。2021/04/17