内容説明
中学校からの友人であるオダと広瀬がお笑いコンビ・お騒がせグラビティーを結成して早十年。未だ一向に売れる気配がなく、周囲の芸人も次々と引退していく中、何が面白いのかもわからなくなったオダは、広瀬からコンビ解散を告げられてしまう。解散まであと一か月。オダが最後にすることは……? 元芸人の著者がひたすらに笑いを追求する者たちを描いたデビュー作。ジャンプ小説新人賞受賞。尊敬するお笑い芸人・カズレーザー氏との対談も収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きたさん
17
激レアさんでおなじみの漫画家、おぎぬまXさんの書かれた売れない芸人コンビを描いた小説。なんかもう切なくて、とてもリアルさを感じました。こんなに辛くて苦しいのに、でもその世界が好きなんだよね、という沼のような話。2021/06/30
須戸
17
大体は人気が出てきた後に興味を持つようになる人間で申し訳ないと一旦考えたけれど、芸人になりたくてなった人達なのだから別に良いかとも考えた。作中の登場人物だとネタを見たら面白いと感じそうなのは三ツ星だけどすごいと感じそうなのは半額ボーイズで、好きなのはお騒がせグラビティー(ただしネタではなく普段の方)だから、お笑いとは何かという問いが浮かび上がって、正解は見つからなさそうと思った。2021/01/26
Kanonlicht
11
芸人の世界を舞台にした物語が総じて出口の見えない閉塞感とすさんだトーンになるのは、むしろそれが普通で、脚光を浴びることは奇跡に近いから。元芸人が書いているだけに、それが痛いほどに伝わってくる。「職業・お笑い芸人」が今現在どれぐらい存在するのかはわからないけれど、テレビで見るような芸人たちは、たとえその他大勢の出演であっても、この話のような苦しい時代を乗り越えたごく一部の成功者なんだろうな。芸に対するスタンスの点でさまざまな類型の芸人が出てくるのも興味深かった。2021/10/27
harukawani
10
全然キラキラしてないし、物語がドラマチックになるような熱さも、登場する芸人たちは持ち合わせていない。それでも、地下のその場所から離れられない芸人たちの姿が、なかなか良い。売れる未来は全く見えないけど、なんかカッコよくて、なんか羨ましくなる。芸人を辞めた作者だからこそ書ける芸人像なのかも。あえて言うなら、作中のネタがあまり面白くないのが残念だなと、『おもろい以外いらんねん』と比べて。小説で笑いを書くのって、たぶんいちばん難しい。2021/02/19
緋莢
8
「俺、今月いっぱいで、芸人辞める」中学校からの友人で、現在はお笑いコンビの相方でもある広瀬から 解散を告げられてしまったオダ。広瀬の心変わりを期待するオダだったが… 10年間売れていないコンビの物語。錦鯉とかハリウッドザコシショウなど、ある程度年齢がいってから ブレイクする人もいますが、そういうのは一部。巻末で、著者と対談したカズレーザー(メイプル超合金)が バッドエンドと言ってましたが、その通りかも…本を投げたくなるほど悪い訳では無かったですが 何か残ったかというと、う~ん…となってしまいます 2025/07/12