内容説明
「かわいそう」と「おいしそう」の境界線はどこにあるのか?
山に入るたび、死と再生のダイナミズムに言葉を失いつつも、殺された獣を丹念に料理して、一家で食べてきた日々――。
獣を殺す/料理する/食べる。
そこに生まれる問いの、なんと強靭にして、しなやかであることよ。
いのちをめぐる思索の書。
母として、写真家をして、冒険者として。
死、出産、肉と皮革を、穢れから解き放つために。――赤坂憲雄氏、推薦!
【目次】
はじめに
序章 獣の解体と共食
第1章 おじさんと罠猟
第2章 野生肉を料理する
第3章 謎のケモノ使い
第4章 皮と革をめぐる旅
おわりに
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
76
食べるとは、どういうことなのか?何を食べるのか?それは、どういうもので、どういう存在であるのか?を、考える。生命として抗うものとしての獣と、それを狩る猟。そこにあるものを感じ取れるのか。それぞれの存在を、関係を考える。美味しく食べてやるという言葉に、たくさんのことがこめられている。ありがたいとは、どういうことか。ページをめくる手が止まらない本は、そうそうない。2023/11/30
さすらいの雑魚
47
最近界隈で流行りな狩猟ノンフィクションの逸品です。写真家の著書なので本人撮影の生々しくも精気溢れる獣と肉とその間の写真が挿絵がわりに使われてます。さすがはプロの作品だと雑魚は感心しきりなのです♪ 写真家は狩猟を追い獣肉を喰らう日々のなかで浄めと穢れの交錯する狩猟曼荼羅を彷徨い己の業と向き合う。 山界に惹かれながら平地に留まる魂の揺れが見てとれる秀逸なノンフィクションに仕上がってます。2021/09/01
アナクマ
44
出産や葬送を軸とする写真家。家族の移住先で始まった猪肉生活から考えた行動記録。◉両手指を二本立てて歩くおじさん猟師、謎のケモノ使いとその相方、養鶏する中三の息子、皮/革にまつわる職人。頭で先回りして想像せずに、実物と応答思索している人の声にまずは耳を傾けよう。「向き合う死のかなしみをうれしいにまで昇華させる媒介は料理しかない」 ◉「新しい発見なんて何ひとつなかった」という後書きが正直。しかし、殺して捌いて調理して考えた分だけ、今までに無かった回路が作者の身体にインストールされたようにも記述されています。2020/11/22
ykshzk(虎猫図案房)
26
自然の循環の中に人間だけ入ることが出来てない感じがする、そんな人におすすめ。罠猟師、日本犬を使った猟師、革職人などを母親でもある女性写真家が取材、著者自身の心の揺れ動きや、子供たちからの素直な問いや反応なども織り交ぜて紹介。「お肉って何から出来ているの」という子どもからの問いは、我々が命を食べる実感から遠い場所で暮らしているしるしだろう。本当は人は動物も含めた循環の一部であったはずで、いつ環っかの外に出てしまったかなと思うと寂しい。猟師、革職人に共通するのは、自然への敬意無しでは出来ない仕事ということ。 2025/01/07
あかぽち
18
狩友さんに教えてもらった本。作者さんはカメラの人でみずから狩猟はしないけど、近所のおじさんから獣肉をもらった事から狩猟の世界に引き込まれていく。フェアな見方をする方だな、と感じた。皮革の白なめしの旅は特に面白かった。あれも食べられるのかー!2023/01/10
-
- 電子書籍
- 「聖女様のオマケ」と呼ばれたけど、わた…
-
- 電子書籍
- もしもチート小説の主人公がうっかり人を…
-
- 電子書籍
- 【フルカラー】シたい盛りは、正直めんど…
-
- 電子書籍
- 地域のネットワークづくりの方法 - 地…