ちくま新書<br> 医学全史 ――西洋から東洋・日本まで

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ちくま新書
医学全史 ――西洋から東洋・日本まで

  • 著者名:坂井建雄【著者】
  • 価格 ¥1,155(本体¥1,050)
  • 筑摩書房(2020/12発売)
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  • ISBN:9784480073617

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内容説明

現代医学はどのようにしてできあがったのか? 古代より、伝統医学は経験から治療法を、推論から理論を創り出すと同時に、西洋では解剖学という人体の科学的探究を続けてきた。それが19世紀に、病理解剖学や実験生理学の発展に伴い実践的な治療と結びつき、劇的な変貌を遂げることになる。医史学研究の第一人者が古今東西の書物を繙き、萌芽期から現代までの歴史を丁寧に辿りつつ、その飛躍的発展の背景に迫る決定版通史。

目次

はじめに
Ⅰ 古代から中世まで──医学の誕生
第1章 古代文明とさまざまな伝統医学
メソポタミア文明における医療
エジプト文明における医療
インド文明における医療
中国文明における医療
第2章 古代ギリシャの医学
古代ギリシャの文明
ヒポクラテスと『ヒポクラテス集典』
ヒポクラテスの医療
ヒポクラテスの医学理論
ヘレニズム期の文明と医学
第3章 古代ローマの医学
古代ローマと共和政期の医学
帝政期の医学
ガレノスの生涯と業績
ガレノスの医学
ローマ帝国の衰退からヨーロッパの中世へ
第4章 ビザンチンとアラビアの医学
ビザンツ帝国とその医学
中東地域とアラビア医学
アンダルスと北アフリカのアラビア医学
ユナニ医学
第5章 中世ヨーロッパの医学
サレルノ医学校
アラビア語とギリシャ語の医学書のラテン語への翻訳
中世の大学医学部
Ⅱ 一六世紀以後──西洋伝統医学の成熟
第6章 一六世紀──情報革命の時代
医学書の翻訳・出版
ヴェサリウス以前の解剖学
ヴェサリウスの解剖学
ヴェサリウス以後一六世紀の解剖学
一六世紀の医学教育
医学における変化の兆し
第7章 一七世紀──変貌する自然観と人体観
古代からの自然観・人体観の克服
人体構造の探究
一七世紀の医学教育
多様化する医学の理論
医学における臨床観察
第8章 一八世紀──拡大する世界と知識
ブールハーフェの医学
拡散する医学の理論
人体機能の探究
医学実地と医療技術
解剖学・外科学・病理解剖
医療施設としての病院
第9章 西洋伝統医学の特徴と構造
医学教育の方法
西洋伝統医学教育の四教科
西洋伝統医学の三つの要素
西洋伝統医学における医学教育の実情
Ⅲ 一九世紀以後──西洋近代医学への発展
第10章 基礎医学諸分野の成立
人体を探究する解剖学
伝統と近代──二つの生理学
薬剤学から薬理学へ
病気の原因を探求する病理学
医学と化学が交わる生化学
健康を保持するための衛生学
病原菌を研究する細菌学
西洋伝統医学から西洋近代医学への道のり
第11章 外科手術の発展
近代以前の外科の著作と外科医
近代以前の外科手術
麻酔法がもたらした痛みのない手術
消毒法がもたらした安全な手術
麻酔法と消毒法以後の外科手術
二〇世紀以後の外科技術の進歩
第12章 体内を可視化する診断技術
病理解剖の始まり
病理解剖による診断
細胞病理学説と病理組織学
X線撮影とその応用
内視鏡で人体内部をのぞき見る
画像診断が医療を大きく変えた
第13章 感染症との闘い
歴史上の流行病
流行病の原因についての考え方
病原菌の発見
免疫による生体防御
抗生剤による細菌感染症の克服
抗ウイルス剤の登場
第14章 循環器疾患との闘い
血液循環が発見されるまで
心臓の構造と心拍動の自律性
循環系の病気の歴史
循環系の機能検査
心疾患の治療に向けて
現代の循環器系医療技術
第15章 癌との闘い
医学史上の癌
癌の原因は何か
癌の治療法
癌患者のケア
第16章 脳と心の病
古代からルネサンス期までの脳のイメージ
一六~一八世紀における脳の構造と機能
精神医学の始まり
神経学の始まり
ニューロンの生物学
脳の科学
二〇世紀の精神医学
二〇世紀の神経学
第17章 安全な出産と生殖の病
生殖と発生の理論
助産と産科学
帝王切開と婦人科外科手術
避妊
不妊症治療
第18章 慢性炎症性疾患との闘い
医学史における慢性炎症病
炎症とは何か
慢性肝炎
慢性糸球体腎炎
慢性閉塞性肺疾患
メタボリックシンドローム
リウマチと膠原病
第19章 病気を癒やすための薬
古代から中世までの医薬
ルネサンス期以後の薬草書と植物学
薬草園から植物園へ
植物から分離された医薬
化学合成された医薬
抗生剤による感染症の克服
さまざまな病気を治療する新薬
Ⅳ 日本医学史──起源と発展
第20章 中国伝統医学の展開──古代から近世まで
中国伝統医学の古典
六朝と隋唐の医学書
宋金元の医学
明清の医学
第21章 江戸時代以前──漢方医学と西洋医学の交錯
古代・中世の日本の医学
近世・江戸期における漢方医学
近世・江戸期における西洋医学の受容
『解体新書』と蘭学の興隆
シーボルトがもたらした西洋医学、種痘
江戸期の医学教育
第22章 明治時代──西洋医学の移植と展開
ポンペの医学教育
幕末から明治初頭にかけての医療
東京大学医学部の始まり
明治一〇年代までの公立医学校
明治一〇年代までの私立医学校
明治二〇年以後の医学教育
明治期の疾患と医療
明治期の医師の動向
第23章 二〇世紀以後──医学教育と医療の諸相
明治末から終戦まで
終戦から一九八〇年頃まで
一九八〇年代以降
医学史から見た日本の医学・医療
あとがき
医学史を学ぶための参考文献

感想・レビュー

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KATSUOBUSHIMUSHI

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古代の文明から現代までの西洋、また漢代の中国から現代の日本に至る歴史を文献や制度の変化を追いながら解説する本。取り上げられている文献が膨大な量で、著者の医史研究の深さがうかがえる。僕たちが当然のように利用している医療制度も歴史の中ではかなり最近になって成立したに過ぎないということがよくわかりました。 第4部の日本医学史だけ読んでも理解できる内容なので、医学の概要を知りたい人、日本の医学史を学びたい人、医学の問題について考えたい人など、医学に興味を持つほとんどの人は読んで損はない本だと思います。2022/12/03

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