内容説明
人生、意気に感ず――。大和国(やまとのくに)の守護となった筒井家に、織田信長が明智光秀によって本能寺で討たれたとの一報が届く。去就を決しかねる筒井家で、静観を主張する島左近は、偵察に出た先で山伏を捕捉した。その山伏こそ、羽柴秀吉の奏者・石田三成だった。なぜ知勇兼備の左近ほどの男が、「算盤侍」と秀吉の猛将たちから揶揄(やゆ)される石田三成に仕えることにしたのか。無益な朝鮮出兵、秀頼の誕生、そして秀吉の死を機に牙を剥き始める徳川家康……。再び風雲急を告げる天下に、“いくさ人”島左近の真価が問われる! 敗れてなお、人心を惹きつけ、後世に語り継がれた漢(おとこ)の生き様。著者急逝のため未完となったが、関ヶ原での島左近の奮闘を活写した、同著者の歴史読物を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てつ
55
火坂氏の遺作。未完である。三成について関ヶ原に臨んだ左近をみてみたいと思うのは私だけではないはずです。影武者徳川家康で登場した左近が被りますが、火坂氏の左近はカッコいい。最後まで読めないのは無念です。2017/06/04
如水
28
下巻はすぐそこに本能寺の変が…と言う所から。明智寄騎衆で有る筒井家はど〜するか?と言う所で左近は驚くべき(僕は「あなたって義の人では?」と思った?)行動を…まぁ筒井家第一なら分かりますが。その後は御存知の様に紆余曲折を経て石田三成の下へ。話は家康が公約を破り次々と各大名に縁組する所迄。つまり『未完』です。未完でも充分楽しめました。基本火坂先生の主人公は『心の中に熱い闘志を持つ』人が多いのですが、この左近はその典型的な描写で読んでる僕にもこぅぐわ〜っと越させる物が有りました(笑)御冥福を御祈り致します?2018/06/22
YONDA
18
火坂氏の書く左近は、義理堅く男っ振りの良い喧嘩屋。惚れた主のためには命を惜しまない。遺作のため関ヶ原は書かれずに終わっているのが非常に残念である。火坂氏は左近の死に様をどう書いたのだろうか。三成に過ぎ足るものと言われた左近はカッコいい。2022/05/08
旗本多忙
17
光秀の謀叛で信長が横死して、自然と秀吉の天下が回ってきた。しかし、秀吉も調子が良いだけで、人の上に立つほど頭の切れはあまり良いとはいえない。左近は最後は三成の家臣となるが、確かに武人としての生き方には共感できるが、結局は貧乏くじを引いた人生であったろう。太閤亡きあと、これといった家臣もおらず、秀頼を頼むという秀吉への誓紙などどこ吹く風という始末だ。そこはやはり家康は頭が良い。著者急逝で関ヶ原前で未完になったのは何とも惜しい作品だ。2022/09/04
Kaz
15
至らない主人だからこそ、自分の働き甲斐がある。そんな思いで三成に仕え、本書にある通りの活躍をしたのであれば、左近は恐ろしいほどの魅力を備えた漢だったのだろう。だからこそ、「三成に過ぎたるもの」と言われるのも納得できる。未完のままで著者が亡くなったのが、まことに残念。自分が知る限り、日本史上でサムライという称号を与えるに相応しい人物は後藤又兵衛だと思っているが、島左近もそのリストに加えることにした。一方、本作を読んで、奈良県を色々回って見たくなった。大和郡山、信貴山、柳生の里など、未踏の地が数多くある。2017/10/05
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