中公文庫<br> 新版 イスラームとアメリカ

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中公文庫
新版 イスラームとアメリカ

  • 著者名:山内昌之【著】
  • 価格 ¥1,100(本体¥1,000)
  • 中央公論新社(2016/10発売)
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  • ISBN:9784122062818

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内容説明

「湾岸戦争からソ連解体にかけてアメリカを理解せずに現代の中東・中央アジアを考える限界を痛感した」。多民族他文化国家アメリカと、世界各地に浸透するイスラーム世界とは共存しえるか。劇的に変化したアメリカとサウジアラビアの関係変化など最新研究を盛り込んだ増補版。

「イスラームとアメリカとの複雑な関係を多面的に考えることは、新しい世紀における日本とイスラームとの相互関係を測る上でも重要な準備作業となる。もちろん私としても、このささやかな書物が大きな課題に正面から取り組んだとは考えていない。しかし今はただ、本書の公刊がイスラームを軸としながら日米関係と日本中東関係を考える試みにもつながれば、と念じるのみである」(はじめに――ラシュディー事件によせて、より)

【目 次】
第一章 イスラームとテロリズム――アメリカと中東を横断する新しい社会運動
第二章 イスラームとアメリカ――自由と民主主義をめぐる非対称
1 イスラームと「歴史の終わり」
2 イスラーム主義におけるプルーラリズム
3 神の民主主義―対―市民の民主主義
4 アメリカのイスラーム政策
5「新・東西対立」と政治的リアリズム
第三章 アメリカの多文化主義と民族・人種問題――ロサンゼルス暴動の背景
第四章 アメリカ人のイスラーム――ブラック・ムスリム運動を中心に
1 アメリカ史の中のイスラーム
2 イスラーム神秘主義教団の台頭
第五章 日米関係とイスラーム――ハンチントン「文明の衝突」をめぐって
第六章 「歴史の終わり」に挑戦するイスラーム――フランシス・フクヤマ再考
1「最後の人間」のアイロニー
2 さまざまな民主主義
第七章 イスラームとトクヴィル――宗教と自由主義との緊張関係
      1 近代ヨーロッパのイスラーム発見
2 トクヴィルの民主主義論と植民地征服――イスラームからの視点
第八章 大川周明による回教徒問題攷究――日本人の見た近代の危機
第九章 日本人のイスラーム観――中村廣治郎『イスラム』によせて
第十章 ウサーマ・ビン・ラーディンとアメリカ――アメリカ同時テロル多発事件の背景

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

372
本書が書かれたのは1995年。今から4半世紀も前であり、9.11アメリカ同時多発テロの6年前である。その時点で著者が、あのテロを予告していたとは言わないが、予見はしていたのではないか。イスラームとアメリカそれぞれの、そして相互の関係性の構造は当時とさほど違っているようには思えない。アメリカが信奉し、世界に敷衍しようとしている欧米型民主主義は、はたして普遍的か。答えは当然に否である。イスラーム世界にはイスラームの「神の民主主義」があると著者は指摘する。互いが理解し合うにはまだまだ大きな階梯がありそうだ。2020/01/03

HANA

55
最初の発刊が1995年、という事でまだアラブの春どころか9・11も起こっていない頃のイスラーム情勢。とはいえテロの事とか民主化運動とか、現在起きている問題が論じられている。ただ現在の目で見るとアラブの春の失敗とかエジプトのイスラム同胞団、ISISとか実際起こった問題は遥かに複雑になっているような気がするけど。後半はアメリカのイスラーム運動の概念や歴史、トクヴィルや大川周明のイスラーム観等が論じられている。直接時事に直結しないこちらの方がむしろ新鮮に読めた。様々な問題は、当時から胚胎されていたのであるなあ。2016/09/05

活字の旅遊人

26
1995年の初書き。加筆修正を経て2016年改訂。凄いものだ。山内昌之氏は、こんなにジャーナリスティックな感じだったか、と違和感あり。アメリカにおけるイスラームのみならず、国際情勢におけるアメリカとイスラームとの関係を解説しており、興味深い。特にアメリカ内部の、黒人奴隷子孫と新しい移民という2つのイスラームの比較・対立軸には、納得。中盤の、ハンチントンやフランシス・フクヤマへの強い批判については、アカデミックな雰囲気を感じた。そして詰まるところ、我々が持たされた、イスラームへの誤解を解きたいのだ。 2021/03/23

BLACK無糖好き

12
初版は1995年、時代背景にどことなく懐かしさを覚えるが、当時アメリカとイスラームの関係をここまで掘り下げて論じていたあたりさすが山内先生と言った所か。議論の展開においてハンチトンの「文明の衝突」をバッサリ切り捨て、フランシス・フクヤマの「歴史の終わりと最後の人間」に至っても容赦ないツッコミを入れまくっている。冷戦終結後うかれていたフクヤマについて貧困と絶望からムスリムが反米・反資本主義の意識を強める事に無感覚にすぎると一刀両断。奇しくも山内先生の警笛はその後の歴史によって証明されてしてしまった。 2016/10/02

Hiroshi

7
95年の出版の『イスラムとアメリカ』に「アメリカとサウジアラビアの関係はどうなるか」「ウサーマ・ビン・ラーディンとアメリカ」を加筆した本。イスラームでは大規模テロがある。これはサウジアラビアがイスラーム主義武装闘争派に長く財政と軍事の両面で援助を与えてきたからだ。それに加えサウジアラビアのワッハーブ派(聖法の刑罰法規をそのまま適用することを要請する)はイスラーム原理主義やジハーディズムの源流でもある。サウジアラビアはサウード家の軍事力とワッハーブ派の宗教運動が結びついた国であり両聖地の守護者でもあるのだ。2024/03/25

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