イスラームは特殊か - 西アジアの宗教と政治の系譜

個数:1
紙書籍版価格
¥5,500
  • 電子書籍

イスラームは特殊か - 西アジアの宗教と政治の系譜

  • 著者名:柴田大輔/中町信孝
  • 価格 ¥5,500(本体¥5,000)
  • 勁草書房(2020/12発売)
  • ポイント 50pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784326200580

ファイル: /

内容説明

本書は、メソポタミアやエジプトに文明が発祥した古代からイスラーム政権が欧米列強と対峙する近現代までの長い歴史を射程に入れ、この土地の政教問題の錯綜した系譜を解明する。さらに、長くイスラームと共存してきたユダヤ・キリスト教社会、そして紋切り型の説明を流布してきた近現代西欧の学者たちの営為も考慮し、西アジア政教問題に関する新しい見取り図を提示する。

目次

はじめに

序章 「宗教的なもの」をとらえ返す近現代フランスと「西アジア」に対する眼差し──マルセル・ゴーシェ、ルイ・マシニョン、ムハンマド・アルクーン[伊達聖伸]
 はじめに
 一 政教構造を意識して「宗教的なもの」をとらえる──ゴーシェの宗教論
 二 「西アジア」のイスラームに注がれる眼差し──マシニョンからアルクーンへ
 おわりに

第I部 古代──神々と王の統べる世界

第一章 古代メソポタミア──国家、神殿、学識者[柴田大輔]
 はじめに
 一 古代メソポタミア研究の史料
 二 先行研究──ディシプリン・語彙・設問
 三 古代メソポタミアの共同体と組織
 四 古代メソポタミアにおける「政治」と「宗教」
 おわりに

第二章 古代エジプト──ファラオと神々[河合望]
 はじめに
 一 エジプト学研究の史料
 二 ファラオの王権
 三 古代エジプトの宗教伝統と神殿
 四 神官と政治
 五 新王国時代における政教関係
 おわりに

第三章 「古代イスラエル」──「一神教」的信仰前史を再考する[長谷川修一]
 はじめに──想像の共同体としての「古代イスラエル」
 一 歴史的枠組み
 二 社会と統治組織
 三 「宗教的」組織
 四 統治組織と「宗教的」組織の関係
 おわりに

第II部 古代の終焉──一神教団の成立へ

第四章 ヘレニズム時代のバビロニア神殿──古代文明の継承と新しい潮流[柴田大輔]
 はじめに
 一 古代メソポタミア文明の黄昏──ヘレニズム時代のバビロンとウルクの神殿
 二 古代メソポタミア文明の継承
 三 ヘレニズム時代・古代末期の宗教伝統の何が「新しい」のか?
 四 古代メソポタミアにおける教団組織形成の歴史的背景

第五章 バビロン捕囚期のユダ共同体──ユダヤ教団の萌芽[高井啓介・渡井葉子]
 はじめに
 一 史料
 二 バビロン捕囚は近現代の研究者によってどのように語られてきたか
 三 『ヘブライ語聖書』からうかがえるユダ捕囚共同体
 四 同時代楔形文字史料から明らかになるバビロニアのユダ捕囚共同体
 五 ユダ捕囚共同体のバビロニア同化問題と新たなアイデンティティの創出
 六 ユダからユダヤへ

第六章 サーサーン朝──イラン的「宗教」概念と王権[青木健]
 はじめに──マーンサルとデーン イラン的「宗教」概念の起源
 一 西アジアにおけるイラン文化の特徴と資料状況
 二 マーンサルとデーンの語義の変遷
 三 「デーンと王権は双生児」──四世紀のサーサーン朝ペルシア帝国
 おわりに──中世ペルシア語「デーン」からアラビア語「ディーン」へ

第III部 中世──「イスラーム誕生」のインパクト
 第七章 中世イスラーム政権(一)──政教関係とウラマーの知[中町信孝]
 はじめに
 一 政教一元論と政教二元論
 二 イスラーム史における時代区分
 三 後期イスラーム時代における変化について
 四 ウラマーの持つ「イルム(知)」
 五 ウラマーの職業
 おわりに

第八章 中世イスラーム政権(二)──ムハンマド、カリフ、ウラマー[亀谷学]
 はじめに
 一 初期イスラーム時代研究における史料と先行研究の枠組み
ほか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

BLACK無糖好き

14
「現代文明の基層としての古代西アジア文明-文明の衝突論を克服するために」の共同研究成果。"イスラームは政治と宗教が一体化した政教一致で司法や経済など全て包括している"との、イスラームに関する文脈でよく語られる「特殊性」への検証を補助線に、メソポタミアやエジプトの古代国家誕生から西アジアがヨーロッパ列強と対峙した近現代までの長いタイムスパンで、この地域の政教関係を考察。イスラーム支配下のユダヤ社会やキリスト教社会について、夫々の共同体では法や自治が保証された事例なども取り上げている。TBC2019/02/18

ヨシツネ

1
イスラームの法体系の推移が分かる。アッバース朝中期の神学審問からアクバル学派が出来て神学的にも政治的にもウラマーが主体になり地方で軍事権が分化した辺りなどは中々知らないと大変(某やる夫作品をに見ながら2019/11/10

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/12549711
  • ご注意事項