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内容説明
日本の社会は高齢化・多死化のフロントランナーであるとともに、世界的なウィズ・コロナの状況を受け容れざるを得ない。
何事も正しい答えを見出し難いこの世界で、究極の問い「死」との向き合い方を考えることは、よく生きようとすることだ。
漱石の『こころ』、コロナ禍でベストセラーとなったカミュの『ペスト』、文豪ドストエフスキーのドッペルゲンガー物語、現代の古典カフカの『変身』から、村上春樹の短篇、SF、ミステリまで、小説家はいかに死に迫り、いかに死を描いてきたか? 登場人物はいかに危機と戦ったのか?
『「死」の哲学入門』に続き、死生観を問いなおす文学篇。
宗教学者による類例なき驚きの小説入門。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
86
前著「死の哲学入門」でこぼれ落ちてしまうものを文学、特に小説に手がかりを見つけようと10章からなる文章。まず挙げられるのが夏目漱石の「こころ」。SNSの言葉をきっかけに自死する現代とKの自殺は近いものがある。夢十夜は死後の生から見た円環の冒険譚とは、そんな見方ができるのか。村上春樹は「中国行きのスローボート」から一貫して死の世界をテーマにしてきた様に思う。「猫を棄てる 父親について語るとき」でその死生観の一端を知る。「眠り」を再読しよう。他にもゴーゴリ、水木しげる、ボリス・ヴィアンなど読んでみようかな。2021/01/24
うちこ
5
タイトルに文学入門とあるとおり、多くの小説が解説・紹介されていて、特に海外の作品は知らないものばかりでしたが、この読書をきっかけにゴーゴリ(ロシア文学)のおもしろさを知るなどの新たな発見がありました。 こういう解説があると、聖書の引用や暗示の部分がピンとこない海外文学にも、別の角度から撒き餌につられて近づいていけます。コラム集のように読めて、シリアスではない本でした。 いまはこの本で知ったショーペンハウエルの『幸福について』を読んでいます。健康に生きるために運動・睡眠・芸術の重要性を説いているとのことで。2021/10/29
ソニックゆうすけ
5
タイトルにあるような“死”はあまり意識しなかった。本当はそこを求めていたのだけれど。ただ、嗜好は非常に好きな文学入門。既に読んだ本のなかでも、ブッツァーティの「七階」は名作だと思う。著者の概説が良くて内容を鮮明に思い出した。ゴーゴリの「外套」とウィンタースの「地上最後の刑事」は大きく取りあげられていたので、近いうちに読みたい。2021/03/22
mitou umo
3
小説はもう読まないという知識人は一定数いて、それに影響されて確かに小説は役に立たないよなと新書やビジネス書ばかりを手に取った時期もあったので、著者の「人間にとって本質的なものは些細なこと。それを描けるのは小説だけ」という主張には救われたような気がした。2022/10/17
No. renkon No. life
1
『死の文学』と言うけれど、哲学とどう違うのか?学者か、作者か。ほとんど、誰も答えを知らない【死】なのだから哲学思想も想像の産物、フィクションと変わらないのではとも途中で思ったが、哲学よりも文学の方が一般人には親近感があるのでは無いでしょうかね。個人的には「夢オチ」的な世界観が一番好きかなぁ🎵2023/04/30