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内容説明
元カリスマホストの歌舞伎町・名物経営者が描き出す
「人間をすべて飲み込む街」の知られざる姿
挫折も、孤独も、欲望も、
人間のすべてを飲み込む――。
〇新型コロナ感染をめぐる新宿区長とホストクラブの連携
〇渋谷で暴動が起きて、新宿では起きない理由
〇歌舞伎町にはわかりすく、美味しいお店がなぜないのか
〇出自を問わず、源氏名で生きるから、誰がどこの国の人間か気にしない
〇歌舞伎町で長く働くと人に頼ることの大切さを覚える
〇誰もがいつか歌舞伎町に救われるかもしれない
戦後、新宿駅周辺の闇市からあぶれた人々を受け止めた歌舞伎町は、アジア最大の歓楽街へと発展した。黒服のホストやしつこい客引きが跋扈し、あやしい風俗店が並ぶ不夜城は、コロナ禍では感染の震源地として攻撃の対象となった。しかし、この街ほど、懐の深い場所はない。職業も年齢も国籍も問わず、お金がない人も、居場所がない人も、誰の、どんな過去もすべて受け入れるのだ。十九歳でホストとして飛び込んで以来、カリスマホスト、経営者として二十三年間歌舞伎町で生きる著者が<夜の街>の倫理と醍醐味を明かす。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おいしゃん
29
歌舞伎町で長いことトップの座を守り、いまは経営者として歌舞伎町を見守る著者による歌舞伎町のあれこれ。やや話の流れが散漫なきらいはあるが、本気でこの街を良くしていこうという想いは伝わってくる。2021/10/07
vaudou
12
少しだけ歴史に関する記述が差し挟まれているが、資料的なアプローチとか全体像を捉えるタイプの本ではない。それよりナンバーワンホストとして歌舞伎町を回遊し続けた著者の肌感覚からくり出される発見と持論にこそ町の特殊性を感じながら読んだ。例えばわかりやすく美味しい飲食店が存在しない理由等。それといくらホストで顔が利くと思っていても、平等にキャッチに勧誘され、ぼったくられた体験がサラッと語られているのが凄い歌舞伎町っぽいなぁと思った。2021/05/26
ふじこ
9
十九歳でホストになり、カリスマホスト、経営者として生きてきた手塚さんによる歌舞伎町について書かれた一冊。歌舞伎町は辿り着いてしまう街らしい。来るもの拒まず去るもの追わず。流行りの店はなく、渋谷と違って暴動は起きず、ゴールデン街は一見さんお断りの店が並ぶ。〈自分らしくいられる場所が、家じゃない人はたくさんいる。〉ステイホームができない人たちもいるんだという事実にハッとさせられる。歌舞伎町という街を護りたい手塚さんの想いに胸の奥がじんわりと熱くなる。2020/12/10
Inzaghico (Etsuko Oshita)
7
歌舞伎町のホストで注目している人物が二人いる。一人がローランド、もう一人が手塚だ。どちらも着眼点が図抜けている。手塚はホストも誰に対してもきちんとした話ができるようにと書店を経営したり歌会を開いたりし、ホストのポストキャリアを考えて介護施設をつくったりもしている。そんなことを思いつくとは、いったいどんな人物なのかと思っていた。手塚は埼玉の進学校から大学の理工学部に進学したものの、中退して歌舞伎町でホストになった、という異色の経歴の持ち主だ。そんな彼が見て、体験した「歌舞伎町」はどこまでも人間くさい。2020/12/09
syuu0822
4
歌舞伎町には行ったことが無く、その他夜の街に繰り出すこともほとんど無い自分。そんな自分にとっては全く別の世界が繰り広げられます。正直ビックリするような話もありましたが、自分にとってのよい店の話と多様性の話はとても共感できました。夜の世界に興味がなかったり、偏見がある人に逆にお勧めしたい一冊です。2022/04/20