内容説明
――モザイク国家の苦悩と現実――
世俗主義/政教分離を国是としたトルコ。
しかし1980年代以降、イスラームが公定イデオロギー化され、
クルド人などの民族的マイノリティーや、
アレヴィ―などの宗教的マイノリティー問題により、その枠組みは動揺している。
多様性を包摂した「国民統合」政策の抱える矛盾と困難を描き出す、意欲作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
BLACK無糖好き
18
トルコ共和国の国民概念やナショナル・アイデンティティの検討を中心に国民的連帯と統合の現状を考察し、国民の間の分断の原因を明らかにしつつトルコの民主化・多文化化への展望を描く試み。非スンニ派のアレヴィーと非トルコ民族のクルド人に対する同化政策、「トルコ・イスラーム総合」政策による国民概念の再構築、宗務庁の役割、ギュレン運動の分析等を論じる。世俗的で民主的な国家との建付けながらも、スンニ派のムスリム・トルコ人が一級市民として扱われる傾向が見て取れる。社会的多様性の包摂は大きな課題のようだ。2021/12/05
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