内容説明
現役女子高生作家が紡ぐ、鮮やかな人間賛歌。
★遠くへ行きたい
田中花実は、中学2年生になった。前作『太陽はひとりぼっち』からのバディ、佐知子とは相変わらず仲良し。ある日、二人は少女と出会う。よかれと思って少女のために行動した二人だが、思わぬところから、深い社会問題に踏み込んでしまう結果に。笑いあり、涙あり、生きることへの肯定感を滲ませる「るりかワールド」はより広がり、深みを増す。
★私を月に連れてって
デビュー作『さよなら、田中さん』、前作『太陽はひとりぼっち』でも、常に名脇役として登場する2階の住人・賢人が主役の物語。相変わらずむさ苦しく、世捨て人となっている賢人がある日突然恋に落ちる。そのお相手とは……?そして、その恋が、彼の生活、人格すべてを変えていく。賢人が見つけた鮮烈な「恋」の行方は……?
★夜を越えて
今作の『遠くへ行きたい』を受けて誕生した作品。授業の一環、職場体験で出会った「ぶーさん」。彼女は、花実のお母さん・真千子の昔を知る人物だった。実の娘の花実にすら一切を語らない、真千子の壮絶な過去の一端が紐解かれる。そこで描かれる真千子の少女時代。そして、その時代から続く熱い想い、絆に心が震える一編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
493
表題作を含めて3つの短篇から構成される。まずは、田中さんシリーズの正編ともいうべき『遠くへ行きたい』。語り手の「わたし」と佐知子(+石井君)の物語。のんちゃんとの邂逅、そして木戸先生を伏線に、後半の重大な秘密へと導いて行く構造。流れはとってもスムーズで上手くはあるが、逆に先行きが心配にもなる。続いては『私を月に連れてって』。これは大家さんの家のニート賢人の物語。いわば外伝とでもいうべき位置づけ。そして最後が『夜を越えて』。こちらは『遠くへ行きたい』を補完する補遺篇か。これら一連の物語は、明らかに続編の⇒2024/04/14
ウッディ
280
女手一つで自分を育ててくれる母を思いやり、地に足を着けてしっかりと生きる中学生の花実。「パンツは履いても人生は儚い」など、くすっと笑ってしまう軽妙な親子の会話が面白い。驚くべきは、まだ高2の女子高生が書いたとは思えないレベルの高さ、自分の娘や息子より年下ではないか。ニートの賢人の恋の行方や、母の過去の真相など、伏線回収が甘いところはあるが、続編で明らかになっていくのかな?家計を気にしながら、倹約に努める健気な少女を描き、河合奈保子を出してくるなど、オジさんの心もガッチリつかみ、末恐ろしい才能を感じました。2021/03/28
mae.dat
267
花ちゃんシリーズ再読キャンペーン第3弾。半分以上の頁を占める第1話『遠くへ行きたい』は花ちゃん目線。2話目は賢人を主人公に据えての表題作。最終話は1話目の伏線回収スピンオフとなってて、またもバラバラなんですね。新作に向けての一番の関心は、賢人と文代さん(偽名)がどうなるかですね( ¨̮ )。今作で賢人は心機一転しましてね。いきなり『フライミートゥザムーン』の調に乗せてダンスに誘われたら戸惑うけどね。恋のパワーは凄みがありますね。猪突猛進型の力強さ。一皮剥けるのでしょうか。楽しみが尽きません( ¨̮ )。2023/10/01
みも
267
もはやどんなに難しい熟語を駆使していようと驚かない。彼女の才能は僕の中で定着し、より高いレベルでの進化を求めるステージへ…。「遠くへ行きたい」116頁。無戸籍児を扱いつつ、花実の出自には不穏な気配が…謎は明かされる事無く伏線回収は次作へ持ち越しか!?「私を月に連れてって」66頁。賢人の恋物語。彼は引きこもりではなくて、只のニートだったんだね。意外に能天気で驚き!これも結末は次作へ持ち越し。前作も必読です。「夜を越えて」36頁。花実のお母さんの少女時代…秘密が明らかに…。ところで人物設定の構想はいつから!?2021/02/01
いつでも母さん
238
今回もるりかさんに脱帽の感。今回は『月』読後は納得というかストンと腑に落ちて…。ドキドキした一話目から、思わず「賢人―」って身内のような感覚になり、ほろっとさせた三話目が切ない。もう次の誕生日が待ちきれないよ、るりかさん。木戸先生の出番は次もあるだろうし、賢人のその後も気になる。何より花ちゃんの母が元気でいてくれるといいなぁって祈るよ。みんな時を経て大人になったのだね。みんな、みんな幾つもの夜を越えて、今日はまた新しい1日を懸命に生きている事を嚙み締めさせてくれる。そんな今回も私は大好きだ~。2020/12/09




