内容説明
1978年6月に,ブエノスアイレスのベルグラーノ大学で行われた連続講演の記録.ボルヘスが選んだテーマは,「書物」「不死性」「エマヌエル・スヴェーデンボリ」「探偵小説」,そして「時間」.――「この五つのテーマはわたしの内面と深くかかわっていて,これまで自分が思念を凝らしてきたものなのです」(ボルヘス).
目次
序言┴書物┴不死性┴エマヌエル・スヴェーデンボリ┴探偵小説┴時間┴解説(木村榮一)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マエダ
93
ボルヘスの公演録。個人的には「書物」と「探偵小説」の章が好み、’書物は人間が創り出したさまざまな道具類の中でもっとも驚嘆すべきものです’はじまりから興味津々である。2017/11/08
藤月はな(灯れ松明の火)
88
様々な哲学や歴史上の人物の逸話、引用などを盛り込んで語った贅沢な講義集。本当にこの人は博覧強記のお方だったんですね。「書物」や「不死性」、「時間」などを自由自在且つ理路整然と語っているのが面白い。特に「探偵小説」についての講義はボルヘスのエドガー・アラン・ポーなどの探偵小説や作品に対しての愛が炸裂していてニヤニヤしてしまいます^^2017/12/26
nobi
88
ブエノスアイレスの大学で行われた5回の講演録。当時78歳。殆ど目が見えない中で、自身最も関心を抱き最も伝えたいことから5つのテーマに絞りこんだはず。「書物」と思念に関わる「不死性」「時間」は作家が選ぶテーマとして不思議はない。でも残りの2回は何ゆえに異端的な「スヴェーデンボリ」と「探偵小説」?それは現代が喪失しかかっている大切なものの提示だった。いずれの回も詩、小説、思想書等からの引用満載。それらがダイナミックで清新な思考を支える。特に「不死性」「時間」の語りかけが熱い。聴講していたなら涙したと思うほど。2017/12/28
スプーン
32
(「時間」レビュー)「現在には少しばかりの過去と、少しばかりの未来がつねに含まれている」ボルヘス2020/09/02
Tenouji
30
ボルヘスの語りは、やはり面白い。まだ十分に把握しきれてないが、「不死性」や「時間」で語られている記憶と無限と時間に対する考察。また、「スヴェーデンボリ」に関するところは、知性を宗教性に入れ込もうとした話しとして理解すると、とても興味深い。現代にこそ再考する価値がありそうな内容である。書物=人間の知性、だけでなく、言葉に対する感受性に対する、深い愛情と信頼を感じる…素晴らしい。2019/05/31