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内容説明
2020年の1年間で生み出されたデータ量は「59,000,000,000,000GB」。
これは、YouTubeの高画質動画57億年分にも相当する。
デジタルは、私たちの社会をさらに自由に、豊かにしてくれる――。
しかし、それが実にはかない願望であったことを、私たちはいま実感させられている。
SNSの広がりは「真実」と「フェイク」の境界をあいまいにし、私たちは「フェイク」に踊らされるようになった。
文脈を失い、断片化された情報は、それがデマであってもまるで真実であるかのように、「いいね」がつけられ、世界中に拡散されていく。
ビッグデータに蓄えられた検索履歴は、私たち以上に私たちのことを知り尽くしたデータ=「デジタルツイン」となり、私たちのプライバシーを丸裸になりつつある。
にもかかわらず、私たちは、デジタルの恩恵から逃れられないのだ。
フェイクが横行し、プライバシーが剥奪され、リアルはデジタルに侵食される――。不自由で非民主主義的な世界を、私たちはどう生きるべきか。
「フェイクによって何が奪われているのか」「便利さと引き換えにどのようにプライバシーを受け渡してしまっているのか」という2つの問題意識をもとに、2020年4月5日、12日に「NHKスペシャル デジタルVSリアル」というシリーズ番組を全2回で放送した。
この放送だけでは伝えきれなかった取材内容をふんだんに盛り込み、現代のデジタル世界を紐解いていくというのが、この本の狙いである。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ろくせい@やまもとかねよし
155
2020年4月に放映されたNHK「デジタル vs リアル」の取材記録。年間で取り扱う「動画57億年分」、それをつなぐ「ケーブル地球30周分」から解説する良書。デジタル技術は、資本主義の価値をモノからコトに変化。しかしコトは簡単に改ざん。性的犯罪や民主的選挙におけるフェイクの事例を紹介。また、莫大な個人レベルのデジタルデータは、「デジタルツイン」と称される実体人間の特徴も浮き彫りにできることを証明する。デジタルネイティブであるZ世代。人類が共有する、利便性とプライバシーのうまい調和を期待すると結ぶ。2021/04/11
ミライ
38
最近いろんなところで話題になっている、ネット上でのフェイクニュースやフェイク動画に関して解説した一冊。フェイク動画を実際に作っているエンジニアや、海外でフェイクビジネスを行っているという「フェイク王」の取材も収録されており面白い。中でも、ある人の9年分のグーグルの利用履歴を解析して、その人の職業・年収・恋愛の有無などを丸裸にした実験が興味深かった(間違った解析結果もあったがほぼほぼその人の情報と一致していた)。2020/12/02
ま
34
台湾と中国の間でのフェイクの応酬。二項対立かと思いきや分断そのものが中国を利するようで、恐ろしいことに中国側からあえて中国批判のフェイクを流したりするらしい。心が折れそうな状況下でそれでも民主主義を守り抜こうとする台湾の人々には心を打たれる。別章にて、Xさんが検索履歴だけで素性を明かされてしまう過程も恐ろし面白かった。2023/03/12
レモン
33
読み進めるごとに、フェイクを見破ることができる個人のネットリテラシーや法整備等に限界を感じる。あそこまではいかずとも、『ターミネーター』や『1984年』の世界にどんどん近づいていっているような。最近のChatGPTのニュースも、技術の進歩に拍手を送るよりもゾッとする気持ちが強かった。さらに悪用されますよね、としか思わない。中でもスマホ内に保存されている検索履歴からその人の年齢や職業はもちろん、趣味嗜好までをほぼ突き止めた実験が面白い。ファクトチェックでは永遠にイタチごっこを繰り返すだけ。解決策はどこに。2024/06/02
きみたけ
32
2020年4月放送のNHKスペシャル「デジタルvsリアル」をまとめた本。本来被害者であるはずのコロナ感染者が他人から加害者として見えてしまう現状。フェイクがもたらす偏見や差別の恐ろしさを感じました。中盤には渡辺直美が登場。スタッフのセリフに合わせて本人の画像が動く「フェイク動画」は、技術の凄さと同時に悪用される事に警鐘を鳴らしています。驚愕なのは「デジタルツイン」の実験で、わずかなスマホの履歴情報から人物像を解析しプロファイルが完成。それこそ悪意のある企業、国家権力が悪用したらと考えるとゾッとしました。2021/02/27




