内容説明
目をこらすと今も見える、あなたの隣の幽霊……うっそうとした原宿の館に出没する女の子、戦時中活躍したミシン、ぼけたおじいちゃんが繰り返す謎の言葉、廃虚と化した台湾人留学生寮。温かいユーモアに包まれ、涙がこぼれる七つの幽霊連作集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
417
7話からなる連作短篇集。主人公も舞台設定もそれぞれに異なるが、「ゴースト」が全体を貫流する。そうは言っても、いわゆるホラーからはほど遠い。ゴーストたちの様態は色々であるけれど、そこに共通してみられるのは「喪失」である。彼らが此岸に残すのは怨念ではない。むしろ、儚く消えて行きそうな、かそけき想いである。それらが、生ける者たちとのたまさかの接点において慎ましく浮かび上がってくる。哀しみ、あるいは寂しさを織り込んでゆくかのような感情が私たちの内に波立つ。小説を読む喜びに震える時間がそこにある。推薦!2021/11/15
さてさて
178
『幽霊になって出てきても、することもないので銭湯に行くことは多かった。女湯にも入れるのは役得だったが、たくさん客のいる時間に行くと、中には霊感の鋭い人間もいて、一度見破られてひどい恰好で逃げ出したことがあった』。そんな自らの思いを吐露する「ゴースト」も登場するこの作品。そこには固定概念に縛られない「ゴースト」が多々登場する物語が描かれていました。多彩な内容に最後まで飽きることなく読めるこの作品。私でも怖くない=万人が読んで問題ないこの作品(笑)。ノスタルジックな雰囲気感漂う、不思議な印象を残す作品でした。2026/01/22
chantal(シャンタール)
80
8月に読むには相応しい本だったなあ。色んなゴーストが出て来るんだけど、それはみんな戦争に関係したゴーストたち。中島さんの筆だけあって、時にユーモラスに語られるが、だからこそ戦争の悲しさがヒシヒシと伝わって来て、なんだか胸が一杯になってしまう。特に素晴らしかったのが「キャンプ」。とても想像力を刺激されるし、こんなに間接的にあの悲惨さを表現できるなんて、すごい。「廃墟」も良かった。ただただ「親日だから」と言う理由で台湾を賛美する人に読んでもらいたい。それがどれだけ有難い事なのか、きちんと理解してほしい。2022/08/18
エドワード
64
みな戦争とつながっている、七編の幽霊話。いかにも神宮前にありそうな古い屋敷。主人公がそこで出会う、三人の女性-何となく素性が解る「原宿の家」。「ミシンの履歴」-古い道具は、幾多の苦難を乗り越えて、今ここにある。戦争経験者の曽祖父にだけ見える、リョウユウ。ヒトウが比島とは、私も解らなかった。「キャンプ」に登場する、ハンスとマルガレーテ-聞き覚えのある名前、そうか、ひとまねこざるの作者だった。東京の真ん中の「廃墟」。生々しい生活の痕跡は、写真に撮れないものだ。ゴーストは皆やさしい。怖いのは生きている人間だ。2020/11/30
ちゃとら
59
読友さんのレビューを読んだ後にB offで出会った本。戦争が絡んだゴースト達の7編の短編集。「きららの紙飛行機」の悪戯盛りに亡くなった優しい少年の幽霊話が良かった。ラストの「ゴーストライター」はベタなジョークの数々に笑えました🤣2022/08/24




