内容説明
母が家を出ていった時、ドーラは17歳だった。それからは年の離れた幼い妹を育てることに身を捧げ、社交界に出ることもなく生きてきた。しかし妹が結婚した後、父の再婚相手に家を出るよう促される。田舎に音楽教師の求人を見つけ一人で赴いたドーラは、自分の家を持ち仕事も軌道に乗って、穏やかに暮らしていた。
ある日、妹の夫の友人であるスタンブルック公爵が訪ねてくる。彼は友人夫妻の結婚式で会ったドーラが忘れがたく、なんと求婚するためにやってきたのだ。驚くドーラだったが、彼女もまた公爵のことを想っていた。二人は将来を誓いあい、晴れやかに結婚式を迎えようとしていたのだが……。魂の癒しと再生を描く《サバイバーズ・クラブ》シリーズ、ついに感動の最終巻!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
26
戦争でズタズタにされた男女7人の再生の物語、大団円です。自分は戦地に行っていないものの、息子を失い生き残った兵士たちの救済に奔走した公爵様。仲間の最後の一人が結婚し、孤独に襲われふと頭に浮かんだのが、一度会った音楽の才能に恵まれた女性で…。戦争の恐ろしさ、そして同胞であっても悪意を持つ者の醜さ。様々な過去の出来事に傷つけられた男女の再生と相互理解の物語でした。50近い男性と40の女性がつかむ幸せににっこり。また読みなおそうかな!2020/12/26
aiko
11
サバイバーズ・クラブ7作目、最後にふさわしい巻でした。 今まで皆の父親的存在だったジョージと音楽教師のドーラ、48歳と39歳という大人な2人の恋が穏やかに描かれます。ゆっくり順調に進む二人の新生活に落ちる過去の影。仄見えるジョージの深い傷にドーラが寄り添い、彼が段々と過去を吐き出していく様子が良く、派手さはありませんがしみじみと読める良作でした。ドーラの両親との長年の不破と和解も盛り込まれ、この話は家族の再生がテーマだったのかな。既刊の6人の登場もあり、彼らの幸せをつかんだ姿が嬉しい。2020/11/09
veri
9
人生に悲劇は必要か?絶対いらない!でも、それはたいてい起こるのだ。ヒューゴの秘密は読むにつれなんとなくわかっていく。さすがバログ。詮索することが良いとは思わないし、時間がくれば、そしてそうなるのが正しければ、自ずと秘密は明るみに出るのだろうと思うから。抱え切れないからこそずっと一人で抱えていたい場合もある。大切に思う人にこそ知られたくないことがある。苦しみや悲しみは人を成長させるから必要だなんて言うけれど、それでもやっぱり要らないと思う。でも起きてしまったのならば、それを意味あるものにしたいと願う。2020/11/11
Miyuki_fsog
8
ジョージの秘密は想像以上だった 敵が現れたあたりから サクサク読めたかな!2022/02/27
キッチンタイマー
8
こう言ってはなんですが、やたらと内輪受け感あるシリーズ登場人物集合って苦手。てか思い出せないのが隔靴掻痒。でもこのシリーズの持ち味と癒しに期待しつつ。申し分なく安定感ある二人にはどんな荒波もなさそうなんだけど、時折みせる公爵のトラウマは、まるで「青髭」の開けてはいけない扉のよう。他の部屋が素晴らしく甘いだけに、残された部屋が気になる。でも愛の名のもとにドーラはどんどん開けたくなってくる。という物語だった。2021/02/27