内容説明
海上自衛隊はすでに中国海軍に凌駕されている。
日本に残された時間は短い。
いますぐ日中の戦力ギャップを埋める行動を起こさなければ日本の未来はない。
2020年5月、衝撃的な論文がワシントンの安全保障研究機関「戦略予算評価センター」から公表された。「中国海軍が日本の海上自衛隊に対して戦闘能力で大幅に優位に立ち、尖閣諸島領有や東シナ海の安定、さらに日米同盟に危機をもたらす」というのだ。しかも執筆者がトシ・ヨシハラという、米国の人民解放軍研究の泰斗だったため、その衝撃の度合いは強かった。
兎角、「中国人民解放軍は『数』で自衛隊に勝るものの、練度や装備、性能では自衛隊のほうがずっと上。よって自衛隊が負けることはない」と言われるが、実際のところはどうなのか? 陸上自衛隊で陸将まで務め、退官後、富士通システム統合研究所安全保障研究所で人民解放軍の研究を積み重ね、世界屈指の識者となっている著者が、その情報のすべてを集積~分析! 現実はどうなのか? その全貌が浮き彫りになる。
目次
第一章 トシ・ヨシハラ論文の衝撃
第二章 トシ・ヨシハラ論文に対する分析・評価
第三章 中国の核戦力と核電磁波パルスの脅威
第四章 航空戦力の比較
第五章 宇宙戦戦力の比較
第六章 サイバー戦能力の比較
第七章 AIの軍事利用
第八章 日中戦力比較の総括と日本の安全保障への提言
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
樋口佳之
55
今起こっている軍拡が何目指しているのか、この経歴の方の本なら参考になるのではと読みました。/憲法と専守防衛が桎梏となっているとの事ですけども、それ取っ払うとどこからかお金が落ちて来る訳でも、人が増える訳でもないよなあって読み終えました。米中という大国の狭間にある衰えゆく小国であるという立ち位置からよくよく考えないと。2023/04/12
ミライ
29
日本の自衛隊と中国の人民解放軍(中国の軍隊)の戦力を比較して未来を分析した一冊。海軍・空軍・核・衛星(宇宙)・AI・諜報・サイバー・ドローンなど、現代の戦争で使われるであろう中国の軍事力を知ることが出来る(本の出版が2020年11月なのでちょっとデータは古い)。いろいろな兵器が解説されていたが、核EPMと言われている広範囲を電磁波攻撃して攻撃範囲の電子機器(スマホなど)を全滅させる兵器が一番怖いかなと思った。(2020年くらいの時点の)中国の軍事力を知りたい人にオススメの一冊。2022/05/26
金吾
18
○日本の安全保障上の欠陥及ぶ迫りくる中国の脅威が切実である状態を理解できます。危機的状況にあるにも拘らず、抜本的改革をしようとしない政治家や問題提起をしないどころか隠蔽するマスコミに不信感を持ちます。想像力と責任感の欠如と承認欲求の強さが根本的な問題と感じます。喧嘩したことある人ならば、感覚的に専守防衛が成り立つのは圧倒的に強くないと成り立たないというのは膚でわかるのではとも思いました。2024/11/08
乱読家 護る会支持!
4
中国人民解放軍の特徴は、 ⚫︎艦艇数では米海軍を上回る ⚫︎世界最大の戦略ミサイル(弾道ミサイル等)部隊 ⚫︎陸軍は世界最大規模の92万人の現役軍人 ⚫︎核弾頭の備蓄は200数十発 ⚫︎他国の国際機関、メディア、経済界、アカデミアなどへの工作活動 等々。。 中国人民解放軍と日本の自衛隊を戦力比較すると、圧倒的に中国人民解放軍が上回る。 子どもたちに日本という国を残していくためには、憲法への「自衛権」の明記、自衛隊を軍としての位置付けに変更(軍法会議、ネガティヴリスト)、スパイ防止法の制定が急務である。2024/10/09
Shun
4
Cyber空間の鬩ぎ合いが我々の生活に直結してくるので、Cyber warfare(サイバー戦)の重要性はもっと認識されるようになって欲しい。 (著者:元富士通システム統合研究所安全保障研究所長、元陸上自衛隊東部方面総監)2021/02/23