内容説明
小さな町ミラクル・クリークの治療施設で火災が発生し、二名が命を落とした。1年後、はじまった裁判は、施設の経営者一家、その患者、関係者たちの秘密を明らかにする……。エドガー賞最優秀新人賞&国際スリラー作家協会最優秀新人賞ほか新人賞三冠、心揺さぶる法廷ミステリ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Panzer Leader
85
韓国人一家が経営する酸素治療施設で二人の犠牲者をだした放火事件を発端として、焼死した子供の母親が犯人とされ一年後の裁判から物語は始まる。本当に彼女が犯人なのか?次々と証言に立つ関係者たちは自分の秘密を守るため、また守りたいと思う人のため嘘をついたり事実を隠したりして、なかなか真相にたどり着かない。二転三転する裁判の行方の果てに明かされる真実とは?関わった人の誰もが幸せにならない正に悲劇としか言いようがないラストを迎えるが、最後の最後に僅かながら光明が見えるのが救い。デビュー作でこれほど人の心を掴むとは→2021/06/01
goro@the_booby
66
ミラクルクリークは小さな町の名前。難病治療のための高気圧酸素施設を営む韓国からの移民家族。苦労の末に開所したのだがある日、火災が発生し犠牲者が出てしまう。難病の子供を抱える母親たち、家族を守ろうとする父親、施療は虐待行為だと抗議する団体。犠牲者の母親が放火の罪で裁判が始まる。重いテーマで息苦しいところもあるが最後まで読ませる筆致はデビュー作とは思えない出来栄え。あの日、あの時、あの場所で…。事件は積み重なって起こっていくんだね。それぞれの家族の気持ちが苦しく痛い。2021/08/21
naoっぴ
64
障害や難病の酸素治療システム“ミラクル・サブマリン”で放火事件が起きた。真犯人は誰なのか。焼死した子どもの母親が起訴され、法廷で裁かれることになるが、検察側も被告側もいくつもの小さな嘘に翻弄されて最後まで真実がわからない。障害をもつ母親の気持ちや、子を育てる親の弱さや強さ、自分のついた小さな嘘が膨らんでいく罪悪感など、登場人物ひとりひとりの心理が細やかに丁寧に積み上げられ、感情をこれでもかというほど揺さぶられた。読み終えて放心中。ストーリー構成も素晴らしかった。これは今年のベスト入りです。 2021/07/07
R
63
嘘ばっかり。読み終わって凄い疲れてしまったんだが、実際にアメリカの裁判ってこういう感じなんだろうか。裁判は真実を探るものではなく、何かを裁いたという形式をとる儀式なのだから、優秀な弁護士たちは、クライアントの利益を守るため、嘘でもなんでも、うまいこと言いつくろって、辻褄をあわせて、本当が何かわからないまま裁判ゲームを進めてしまう。当事者たちが、それぞれの思惑にそった嘘をつくので、誰もが誰かの不幸を担うような状態になって、面白いとは思えないが、ありそうだと思わされる物語だった。2021/08/10
ちえ
54
とても読みごたえがあった。韓国からの移民一家が経営する「ミラクル・サブマリン」と呼ばれる酸素治療施設への放火事件。一年後に始まる息子の治療のため利用していた母親への裁判。障害を持つ子供の子育て、不妊治療、人種問題、児童虐待という多面的な切り口。裁判が進むにつれ見えてくる子育て中の感情の高ぶりや、移住をきっかけに変化していく家族間のパワーバランスは読み手にもきっと思い当たる事があるだろう。原書を読んだ読友さんレビューより図書館へのリクエストで購入していただいた。エドガー賞最優秀新人賞等三冠受賞作。2020/12/15
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