内容説明
父親を病でうしない、母親との確執を抱えた女子中学生の雨音(あまね)は不登校になり、山岳写真家の伯父・道夫のもとに身を寄せた。道夫はバーニーズ・マウンテン・ドッグのワルテルとともに自前のログハウスに住んでいた。ログハウスの近くには大きな別荘があり、雨音はそこの持ち主の長男で高校生の正樹と知り合う。正樹は再婚した父親と若い母親に対して、複雑な感情を抱えていた。雨音と正樹は道夫の影響で登山の魅力を知るようになり、道夫の愛犬ワルテルと自然との触れ合いが、二人の心を少しずつ癒していく。家族の問題を抱えた中学生と高校生が、道夫とワルテルと過ごすなかで自らの生きる方向性を見出していく、心に響く長編小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MI
107
父を亡くし、雨音は新たな恋人を作った母が嫌いだった。蓼科で伯父道夫とバーニーズマウンテンドックワルテルと一緒に暮らすことになる。ワルテルは最初は感じが悪い犬だったが、一緒に暮らし、次第に雨音を慕うようになる。隣人の正樹は父と後妻との折り合いが悪く、正樹と雨音は似た境遇で道夫から登山を教わり、自分達の生きる道を見出していく。「人間は未来を恐れるが、動物は違う。あいつらは今を生きてる。瞬間瞬間をただ精一杯生きてる。過去に囚われることも、未来を恐れることもない。」犬と共に生き、犬から教わる多くのことに涙した。2024/02/20
goro@the_booby
91
犬が家族の一員になったことがある人なら読まずにはいられない1冊。思い出してしまう犬がいたなら忘れられない物語で背中をおしてくれる物語。いつでも純粋な奴には敵わないよ。そして山に登りたくなるお話。馳星周は好きなものをこれでもかとつぎ込んできたな!2021/08/24
涼
90
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2021/10/post-832a9e.html こういう暮らしをしてみたいと思いますが、実際にはきびしいでしょうね。2021/10/13
佐々陽太朗(K.Tsubota)
87
馳星周氏の本を読んだのは本書で7冊目。『少年と犬』『ソウルメイト』『陽だまりの天使たち ソウルメイトⅡ』、本書は人と犬との愛と信頼の物語。『不夜城』『鎮魂歌 不夜城Ⅱ』『長恨歌 不夜城完結編』は殺人と裏切りと復讐の物語だった。馳氏の作品世界の二面性に思い浮かぶ言葉は ”If I wasn't hard, I wouldn't be alive. If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive.” 彼のフィリップ・マーロウの科白だ。2021/06/19
shinchan
75
馳さん初読みに、『雨降る森の犬』を選んだ訳ですが、いやいや犬好きの私に最高な感動を頂きありがとうございました。もっと早く読めば良かったですね。登場人物も素敵なのですが、 バーニーズ マウンテンドッグのカワイイ事!最後は勿論、涙🥲🥲🥲、、、。2023/01/20