- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
(目次)
プロローグ 『日本書紀』一三〇〇年紀に向けて
第一章 中世日本紀の世界へ
1.『釈日本紀』と「日本紀の家」
2.『太平記』が伝える「中世日本紀」
第二章 戦乱のなかの『日本書紀』
1.伊勢神宮に伝わった「秘書」
2.応仁・文明の乱と吉田兼倶
第三章 「日本紀講」と平安貴族たち
1.「日本紀講」の現場へ
2.『源氏物語』のなかの「日本紀」
第四章 儒学者・国学者たちの『日本書紀』
1.山崎闇斎・出口延佳・新井白石――儒学系の学者たちはどう読んだか
2.本居宣長・平田篤胤・鈴木重胤――国学者たちが読む『日本書紀』
第五章 『日本書紀』の近・現代史
1.維新変革のなかの『日本書紀』
2.近代学問は『日本書紀』をどう読んだのか
第六章 天武天皇・舎人親王・太安万侶――『日本書紀』成立の現場へ
1.『古事記』『日本書紀』、ふたつの神話世界
2.「日本紀講」に埋め込まれた神話
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
56
神話から始まる国の成り立ちを語る日本書紀は、様々に読み替えられて学者に批判され、各時代の政治的抗争に利用されるなど複雑怪奇な歴史を辿った。中世期にはトンデモ本さながらの解釈があったり、平田国学に強い影響を与えたとは知らなかった。しかも明治には国家神道成立に利用され、あげく戦後は無視されるのだから。そんな日本書紀が内容的には相矛盾する古事記ともども同時期に編纂された理由を探る最終章は、1300年も日本人をとらえてやまぬ謎の解明に挑んだ歴史ミステリの趣きすら感じる。ここが著者の最も書きたかった部分ではないか。2021/03/26
はちめ
10
著者もあとがきに書いているように、日本書紀は不幸な歴史書だ。本居宣長によって漢意だと貶められ、戦前に神格化されたことにより戦後においては研究に着手することさえ憚られた。そして編纂1300年の記念の年にコロナ禍に見舞われ、行われたであろう多くの記念行事が飛んでしまった。近年、考古学の進展により、特に天皇記の記述が歴史書として真実を伝えていることが明らかになっている。つい先日も京都で日本書紀に記述のある導水施設が発掘されたとのこと。日本書紀の復権を!☆☆☆☆#ニコカド20202020/11/14
はちめ
7
日本書紀が日本の歴史上どのように解釈されきたかという本なので、日本書紀には本来何が書かれているかという問いにはあまり参考にならない。ただ、中世において草薙の剣はヤマタノオロチの子供で安徳天皇に化身して取り返しに来たなどという説がまかり通っていたというのはちょっと笑える。 その後も平田篤胤のカルト的な解釈や国家神道による悪用など、日本書紀は適確な解釈に恵まれなかった。これからでも遅くないのでAIを使うとかして、研究者の方たちには適切な読みをお願いしたい。☆☆☆☆★2022/08/03
takao
2
中世での読まれ方2021/05/07