実験哲学入門

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実験哲学入門

  • 著者名:鈴木貴之
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  • 勁草書房(2020/11発売)
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  • ISBN:9784326102822

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内容説明

主に質問紙調査などによって、哲学の問題に関する人々の直観を明らかにする実験哲学。経験的手法による既存の哲学理論の検証や、哲学的な問題を考える際の心のメカニズムの解明、従来の哲学研究の方法論そのものの問い直しなど、多様な方向性を持つ。認識論、言語哲学など各分野の代表的な研究を紹介し、課題と可能性を展望する。

目次

はしがき[鈴木貴之]

第1章 実験哲学とは何か[鈴木貴之]
 1.1 哲学と事例の方法
 1.2 事例の方法から実験哲学へ
 1.3 実験哲学の広がり
 文献案内

第2章 知識の実験哲学[笠木雅史]
 2.1 実験哲学の開始とその後の展開
 2.2 知識の分析とゲティア問題
 2.3 ゲティア型事例についての文化比較研究
 2.4 直観的判断の相違によるゲティア型事例の分類
 2.5 知識の実験哲学の意義

第3章 言語の実験哲学[和泉 悠]
 3.1 はじめに
 3.2 「意味論、文化横断的スタイル」という論文
 3.3 方法論的批判
 3.4 実験内容に関する批判
 3.5 おわりに――今後の方向性

第4章 自由意志の実験哲学[太田紘史]
 4.1 はじめに
 4.2 素朴両立論を支持する研究
 4.3 素朴非両立論を支持する研究
 4.4 研究の進展と多様化
 4.5 哲学的意義

第5章 行為の実験哲学[笠木雅史]
 5.1 行為の哲学と意図的行為
 5.2 伝統的な行為の哲学
 5.3 行為の実験哲学の開始とノーブ効果の発見
 5.4 ノーブ効果の発見以後の研究課題
 5.5 行為の実験哲学の意義

第6章 道徳の実験哲学1――規範倫理学[鈴木 真]
 6.1 トロリー問題とグリーンらの脳科学研究
 6.2 脳科学的知見の規範的含意
 6.3 実験哲学における論争――直観性の扱いとモデルの一般性
 6.4 脳科学の手法を使った実験哲学と道徳判断研究

第7章 道徳の実験哲学2――メタ倫理学[太田紘史]
 7.1 はじめに
 7.2 素朴客観主義を探る
 7.3 素朴相対主義を探る
 7.4 他のさまざまな研究
 7.5 おわりに

第8章 社会心理学から見た実験哲学[唐沢かおり]
 8.1 はじめに
 8.2 実験哲学のプロジェクトと心理学
 8.3 心的過程を問うことの意義
 8.4 質問紙によるデータ収集に伴う諸問題
 8.5 おわりに――人に尋ねた結果から概念について語ることをめぐって

第9章 成果と展望[鈴木貴之]
 9.1 実験哲学研究の成果
 9.2 実験哲学に対する批判
 9.3 実験哲学研究の展望

あとがき[鈴木貴之]

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Bevel

6
実験哲学のモチベーションには俗に思考実験と呼ばれる「事例の方法」についての疑念がある。読んだ感想としては、分析哲学の当たり前をひっくり返す「否定的プログラム」にはさほど重要性を感じなくて、認知科学を経由した「肯定的プログラム」が面白そうという感じ(編者よりも太田や唐沢に近いのかも)。普遍的な知識の事例を示すマシェリーの研究、行為の効果が道徳的に悪い場合と良い場合で行為者が意図的かどうかの判断が変化する「ノーブ効果」などなど、心理学との境界にある面白い論文について知れるのよかった。メタ哲学の話気になる。2022/06/11

おちこち

4
ここ最近耳にすることが増えた実験哲学に関するまとまった入門書。質問票やMRIを使うことで従来の直観を使用した方法に対して疑問を付したり、哲学の問題に対して一定の解答を求めたりするのが面白い。まだまだ発展途上の分野であるため、実験哲学の手法や目的に関して課題が多いものの、新しい知見を得られることを期待する。2020/07/21

Akiro OUED

3
トロリー問題歩道橋版改:歩道橋には僕と彼がいて、互いに相手を線路に落とせるスイッチを持っている。暴走トロリーの先には5千人の子供がいる。どうする。相手を線路に突き落とせ。人類を絶滅するに十分な核兵器を保有する相互確証破壊状態はゲーム理論の問題だけど実験哲学はどう出る?好著。2021/09/12

buuupuuu

3
仮想的な状況において、ある概念が適用できるかどうかを「直観により」判断する「事例の方法」が、哲学においてしばしば用いられている。この判断は哲学者がある意味独断的に行っていたのだが、そうする代わりに心理学等で用いられる統計的手法等を用いて、人々がどう判断するか経験的に確かめてみようというのが狭義の実験哲学である。面白いと思ったのは、話が、人々の直観的判断から、それに影響を与える様々な要因や、判断の背後に想定される認知プロセス等へと拡がって行くところだ。直観の身分の解明が哲学理論にどう回収されていくのか。2020/09/22

愛楊

2
認識論,言語哲学,自由意志,行為の哲学,規範倫理学,メタ倫理学の具体事例を中心に,実験哲学という領域の概説を試みた本.ただし,第7章は "「我々は客観主義者なのか?ーーメタ倫理学への実験哲学的アプローチ」,蝶名林亮『メタ倫理学の最前線』,勁草書房,pp. 319-343" の改稿である.第9章の「社会心理学者から見た実験哲学」が興味深かった.そもそも反照的均衡の打つべき壁(=哲学者の直観)が反省されるというのは,ポストコロニアル批評やジェンダー批評という点でも高く評価されると思う.2024/04/19

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