内容説明
米国とメキシコを隔てる3200キロの国境に世界中の移民が集まっている。中南米のみならず、アジア、アフリカからもやって来るのはなぜか? 麻薬組織が支配する砂漠、猛獣が棲むジャングルを越えて向かう理由の中に、私たちが知るべき世界の真実がある。2019年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞の迫真ルポルタージュ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
どんぐり
96
国を出て南米からアメリカを目指す人々を追ったルポ。米国でメキシコとの国境を仕切る壁に群がる人々、ギャングによる殺人と恐喝で暴力から逃れる人が相次ぐ中米3か国(グァテマラ、ホンジュラス、エルサルバドル)、さらには世界中から南米大陸に入り、約6300キロ先の米国境を目指す人々。アメリカ・サンディエゴ、メキシコ・ノガレス、エルサルバドル・サンサルバドル、ホンジュラス・サンペドロスーラ、コロンビア・カプルガナの地を遡る。殺人率世界最悪の地で蔓延るギャング団「マラス」の闇は深い。→2021/06/08
アキ
86
ホンジュラス・サンペドロスーラから「キャラバン」と呼ばれる移民集団は徒歩やバスで約4700kmの距離を移動し始めた。旧約聖書の出エジプト記になぞらえ「エクソダス」と呼ぶ。そこにはアフリカ・カメルーンからエクアドルを経て、パキスタンやインドから米国境を目指す人たちもいた。UNHCRは大陸外流入と表現し、生きるために命懸けで国境を越え米国での難民申請を目指す。著者はそれに同行する。作るべきは壁ではなく、国境を越えなくても生きていける世界だと。日本のパスポートはビザなしで入れる国と地域は191と世界で最も多い。2021/02/24
Willie the Wildcat
82
人権vs.政争の構図は、私が若き日々を過ごした時代から不変。「壁」は象徴であり、トランプ前大統領、あるいは象さんの専売特許でもない。世界の壁の数における転機は、同時多発テロ事件とのこと。キャラバンの自然発生も、旧約聖書になぞらえた表題を考えれば、当然の成り行き。一方、所々で垣間見るヒトの温かみも自然。中でも、バホチキト村での国境警備隊・班長の著者への”心遣い”に見る人間性が印象的。一方、2015年の難民危機を踏まえても、国内外からの圧力の構図も不変。根っこの社会問題解消?論理的帰結だが現実性や如何に。2022/03/19
ホッパー
59
「夜と霧」を読んだ時のような、目の覚めるような衝撃を受ける。「エクソダス」は現代の話でありなおさら痛い。移民、難民、メキシコ、壁、マラスなどのキーワードから過酷な世界の現状を知る。多くの人に読んでもらいたい。必読と言ってもいい。2021/03/20
パトラッシュ
55
アメリカのメキシコ国境に中南米から大量の移民難民が押し寄せている話は知っていたが、その内情をここまで詳細にレポートした本は初めて。彼らが小舟で荒海を渡り密林を踏破し、貨物列車の屋根に乗り国境の壁を越え砂漠をさまよう姿は現実とは思えない。しかも彼らが国を捨てたのは、残酷な暴力組織に半ば支配されたり地震や内戦から逃げたためとは21世紀の出来事なのか。一方、彼らの目的地は無秩序な異物の侵入を恐れ壁の建設を主張する男を大統領に選んだ。島国に住む日本人には理解しにくいが、グローバル化の負の側面が露呈しつつあるのか。2020/11/23
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