内容説明
スゥとルゥルゥ、ふたりの少女の目にだけ光を発しているように見えるふしぎなお手伝いのルチアさん。その謎をおうふたりでしたが…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はる
79
今作がユニークなのは、一見メリーポピンズを思わせる、ルチアさんという風変わりなお手伝いさんのおとぎ話の体裁を取りながら、終盤になると一転、生き方をテーマにした哲学的な雰囲気を帯びてくる点です。憧れや夢を追って行動を起こす生き方もあれば、夢に憧れるだけで満足し現実的な道をとる生き方もある。前者がルゥルゥと父であり、後者はスゥと母。興味深いのはスゥの視点で描かれているところ。そしてルチアさんの、「ここ」にいながら「どこか」にいられるという生き方も…。2017/11/13
吉田あや
76
鬱蒼と茂った木で全体が暗く翳り、たそがれ時のゆらゆらしたすみれ色の空気が立ち込めているように見えることから、近所では『たそがれ屋敷』と呼ばれるようになった館。そこには溜息のベールを纏った儚げな奥様と、お揃いの白いエプロンを付けた大人しい姉妹のスゥとルゥルゥ、お手伝いさん2人が棲んでいた。ある日お屋敷に水色のぴかぴかした卵のような「ルチアさん」が新しいお手伝いさんとしてやって来たことで、静かに密閉された館の人達の日々に変化が訪れ始める。(⇒)2020/07/07
ぶんこ
76
これは決して児童書とはいえない。 子供が読んだのでは、この世界は味わえないのではと思いました。 夜が明ける早朝の朝もやの中で、一人ぼっちの気分。 マイナスな気分ではなくて、シ〜ンとした静かな、さみしいような、切ないような、うっとりする気分。 物語のすじ、というよりは世界を楽しむお話。 水色という色そのものの世界。 不思議で優しくてさみしくて、素敵な本でした。2016/04/24
ゆか
54
小学生だった頃の自分に読ませてどうだったか聞いてみたい。多分小学生の私は、ルゥルゥになりたいと思っただろう。旅に出たきりのルゥルゥ。けれど今の私の暮らしはスゥだ。「ここではないどこかを思って暮らすことなど、スゥには考えられませんでした。略 こなさなければならない仕事がたくさんありました。家庭もありました。略 こここそがすべてと言ってもいいほどでした。それなのに時折悲しくもなく楽しくもないひどく味気ない心を抱えたまま、日々をやり過ごしている自分に気づくのでした」人生は、どちらかしか選べないのだなあ。2016/04/12
AKIKO-WILL
49
最近ハマった大島真理さんのエッセイに紹介されていた高楼方子さんの「ルチアさん」表紙の絵は、出久根育さんの個性的な絵で惹きつけられます。児童書にありましたが、ストーリーは子供はもちろんのこと大人でも不思議なストーリーにハマります。たそがれ屋敷にやってくる新しいお手伝いのルチアさんが双子のスゥとルゥルゥが大好きな船乗りのお父さんから貰った宝物のたまごの形をした綺麗な水色の玉と同じように身体が光っている!!なんでルチアさんの身体が水色に光っているのか?そして、なぜ他のみんなはルチアさんが光っているのを気づかない2016/03/22
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