内容説明
スゥとルゥルゥ、ふたりの少女の目にだけ光を発しているように見えるふしぎなお手伝いのルチアさん。その謎をおうふたりでしたが…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はる
79
今作がユニークなのは、一見メリーポピンズを思わせる、ルチアさんという風変わりなお手伝いさんのおとぎ話の体裁を取りながら、終盤になると一転、生き方をテーマにした哲学的な雰囲気を帯びてくる点です。憧れや夢を追って行動を起こす生き方もあれば、夢に憧れるだけで満足し現実的な道をとる生き方もある。前者がルゥルゥと父であり、後者はスゥと母。興味深いのはスゥの視点で描かれているところ。そしてルチアさんの、「ここ」にいながら「どこか」にいられるという生き方も…。2017/11/13
ぶんこ
76
これは決して児童書とはいえない。 子供が読んだのでは、この世界は味わえないのではと思いました。 夜が明ける早朝の朝もやの中で、一人ぼっちの気分。 マイナスな気分ではなくて、シ〜ンとした静かな、さみしいような、切ないような、うっとりする気分。 物語のすじ、というよりは世界を楽しむお話。 水色という色そのものの世界。 不思議で優しくてさみしくて、素敵な本でした。2016/04/24
ゆか
54
小学生だった頃の自分に読ませてどうだったか聞いてみたい。多分小学生の私は、ルゥルゥになりたいと思っただろう。旅に出たきりのルゥルゥ。けれど今の私の暮らしはスゥだ。「ここではないどこかを思って暮らすことなど、スゥには考えられませんでした。略 こなさなければならない仕事がたくさんありました。家庭もありました。略 こここそがすべてと言ってもいいほどでした。それなのに時折悲しくもなく楽しくもないひどく味気ない心を抱えたまま、日々をやり過ごしている自分に気づくのでした」人生は、どちらかしか選べないのだなあ。2016/04/12
AKIKO-WILL
49
最近ハマった大島真理さんのエッセイに紹介されていた高楼方子さんの「ルチアさん」表紙の絵は、出久根育さんの個性的な絵で惹きつけられます。児童書にありましたが、ストーリーは子供はもちろんのこと大人でも不思議なストーリーにハマります。たそがれ屋敷にやってくる新しいお手伝いのルチアさんが双子のスゥとルゥルゥが大好きな船乗りのお父さんから貰った宝物のたまごの形をした綺麗な水色の玉と同じように身体が光っている!!なんでルチアさんの身体が水色に光っているのか?そして、なぜ他のみんなはルチアさんが光っているのを気づかない2016/03/22
リコリス
43
【高楼方子 11月の扉を開けよ読書会】“ルチアさんの前でなぜ自分たちは心にしまったなにかしら輝くような思いを表にだしてみたくなるのだろうか…”水色に光って見えるルチアさん。きれいなきれいなみたこともないような水色の実。透き通った水色の中にふわふわと浮いているような読書時間。「ここ」にいながらきらきら輝く「どこか」を夢見て生きる「どこか」を探しに旅に出たルゥルゥと「ここ」でひたむきに生きたスゥ。どこかは場所ではなく誰の心の中にもあるんだと思う。水色の実は心を満たす魔法の実だったのかな。2018/11/18