海洋戦略論 - 大国は海でどのように戦うのか

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海洋戦略論 - 大国は海でどのように戦うのか

  • 著者名:後瀉桂太郎
  • 価格 ¥4,400(本体¥4,000)
  • 勁草書房(2020/11発売)
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  • ISBN:9784326302758

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内容説明

冷戦末期から21世紀現在まで、主要国の海洋戦略を決める要因は何だったのか? シーパワーと見なされる米国、英国、日本と、ランドパワーとして認識されるロシア、中国、インドの計6カ国を、領域拒否、制海、戦力投射の3点から比較し、海洋領域における軍事戦略を理解するための包括的な視座を提供する。

目次

まえがき

第I部 海洋戦略の理論的視座

第1章 海洋戦略とは何を論じるものなのか
 1 国際システムと軍事戦略の変遷
 2 海洋軍事戦略を構成する3つの要素
 3 前提仮定ならびに問題の所在
 4 予想される変数の提示ならびに分析対象国の選定

第2章 海洋領域における軍事戦略の構成要素と分析枠組み
 1 従来のシーパワー論とその問題点
 2 分析枠組みの導出過程 (1):冷戦後期の極東戦域
 3 分析枠組みの導出過程 (2):21世紀のアジア太平洋
 4 制海概念にまつわる議論:古典的シーパワー論
 5 海洋における軍事力の役割1:第二次世界大戦以降のシーパワー論
 6 海洋における軍事力の役割2:通常戦力による抑止
 7 軍事力使用のハードル1:人的損害の忌避
 8 軍事力使用のハードル2:距離の専制
 9 「攻撃―防御」二元論は成り立つのか
 10 小結:ここまでに見出された主な論点

第II部 海洋国家の海洋戦略を読み解く

第3章 米国:制海と戦力投射への依存
 1 ソ連海軍の台頭と制海重視:冷戦末期(1980~1989年)
 2 制海を前提とした戦力投射:ポスト冷戦期(1990~2009年)
 3 再び制海へ:中国の海洋進出(2010~2017年)
 4 米空軍における戦略目標の変遷:戦略爆撃と遠征軍

第4章 英国:低下する戦力と,変わらない戦力組成
 1 海洋領域における軍事戦略目標の変遷
 2 独立核戦力の維持
 3 フォークランド紛争までの状況(1980~1981年)
 4 フォークランド紛争における作戦能力の限界(1982年)
 5 フォークランド紛争以降(1983~2017年)

第5章 日本:ソ連・中国に対する領域拒否と制海の追求
 1 冷戦末期:ソ連に対する領域拒否と制海能力(1980~1989年)
 2 ポスト冷戦期:活動領域の拡大と制海能力の向上(1990~2009年)
 3 中国の海洋進出:領域拒否への再投資(2010~2017年)
 4 海上自衛隊の保有アセットからみた評価

第III部 大陸国家の海洋戦略を読み解く

第6章 ロシア:一貫した領域拒否と限定的な戦力投射
 1 冷戦末期の海洋要塞戦略(1980~1989年)
 2 ソ連崩壊以降の戦力低下(1990~2009年)
 3 戦力回復期における領域拒否の優先(2010~2017年)
 4 ロシア政府公文書が示す軍事戦略目標

第7章 インド:典型的ランドパワーからインド洋の制海へ
 1 米国との潜在的対立と領域拒否の強化(1980~1989年)
 2 冷戦終結後:インド洋における制海能力の強化(1990~2009年)
 3 中国の海洋進出に伴う反応(2010~2017年)

第8章 中国:領域拒否から制海と戦力投射へ
 1 近代化の開始と近海防御(1980~1992年)
 2 対米領域拒否能力の発展(1993~2009年)
 3 南シナ海の制海と戦力投射能力の拡大(2010~2017年)
 4 米国との比較

結論 海洋戦略をめぐる因果推論
 1 6カ国の個別評価
 2 戦略目標の優先順位をパターン化する
 3 現代海洋戦略の因果推論モデル
 4 補論:将来の技術革新は本論を否定し得るのか

あとがき(ごく私的な謝辞)
引用・参考文献一覧
事項索引
人名索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

キミ兄

4
マハンの制海理論やコーベットの海洋戦略論を整理し、海軍の軍事目的を領域拒否、制海、能力投射に区別。これで日米英中ロ印6か国の海軍戦略を分析していく。何よりも米国の制海能力が各国戦略立案の軸になっているのが分かる。そして中国がいかに戦略を変化させてきたのかも分かる。英国がフォークランドで苦戦したのは冷戦の影響だったとかも。 最後に最新技術の影響にも触れているが、ドローンなどのロボットやAIの影響への考察が無いのが残念。読んで損は無い。自分は久々にノートを取りながら読んだ。☆☆☆☆。2019/04/21

4
海上自衛官である著者の博士論文に大幅な加筆修正を加えたもの。米海軍の戦力造成を語るときによく言われる「制海か戦力投射か」というところを超えて、「制海・戦力投射・領域拒否」という3つの軸で米英日露印中の冷戦末期〜現在までの戦略を捉えていく。中国のA2/ADが盛んに言われる中で、でもそれって中国特有ではないよねという話を踏まえてよく整理されている。また、「領域拒否の相殺」とでもいうべき発想は、中国の海洋進出に対してなぜ日本が領域拒否的能力の向上(潜水艦やSSMの増勢)を図るかという点に有力な説明をしてくれる。2019/03/15

てっき

2
現役海上自衛官による米ロ英印日中の海洋戦略について、米国の海洋戦略との関係を踏まえつつ、制海・接近拒否・戦力投射の三つの視点からの分析によって、各国の各時代における海洋戦略を分類・分析したもの。 実務者ゆえに、非常に現実的であるが、その一方で非常に論理的であり、学術家からの批判にも大いに耐えうる内容。 マハンやコーベットといった大家を知らない自分であるが、それでも歴史を踏まえ、国家戦略と海洋戦略のリンクが非常に分かり易く理解できた。 しかし、なによりも感動したのは後書き。アマゾンレビューは伊達ではなかった2019/10/22

さっきぃ☆

1
本書は現役の海自の幹部が、博士論文としてまとめたものを出版したもの。日米英をシーパワー(海洋)国家、露中印をランドパワー(大陸)国家に分類し、海洋戦略を領域拒否、制海、戦力投射の観点から分析している。内容が結構専門的なので、軍事学の初習者には難解かもしれないが、切り口と分類が明確で海上における軍事戦略を理解することができると思う。2019/12/20

adatic

0
日米英中露印6カ国の海軍戦略を「領域拒否、制海、戦力投射」の三視点から読み解く。何かにつけ「地政学」と言ってしまいがちな迂闊な人、中国の海洋進出に一言言わずにはおれない人はまず本書を一読するのをお勧めする。2020/08/09

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