内容説明
戦国の裏面史を描く圧倒的な面白さ! ――敵方の家来になりすます者、芸能一座として民衆の中へ入り込む者……密命を帯びた遊部たちは、目的を成し遂げるべく暗躍する。だがその矢先、再び正倉院が襲われ、遊部の祭主(ツカサ)が殺される。本能寺の変、千利休の台頭、破邪(はじゃ)王との邂逅を経て、明らかになる千年の謎! 圧倒的なスケールと面白さで魅了する、渾身の時代長編。<上下巻>
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KT1123
5
正倉院の守り人で、ゆえに正倉院に強引に入った織田信長が許せず、切り取りばら撒いた蘭奢待を回収すべく動き出した遊部の由来が壮大。織田信長は本能寺で死に、明智光秀も羽柴秀吉に討ち取られ、秀吉が天下人になる趨勢に、茶人津田宗及も翻弄される。信長に謀反して死んだ松永弾正の正体も意外なもの。盛りだくさんな内容で、ついていくのがちょっと大変だったけど、スゴイ力作だと思わされました。2024/08/25
伊之助
1
再読。「遊部」ってなに。古代大和の貴人たちの「もがり」に関わった実在の職能集団。時が移り、異能の集団に生まれ変わってまだ存在する戦国時代。興味の尽きない題材です。ので、基本的には面白く読みました。ただ、彼ら遊部の異能たる活躍がもっともっとみたかった。2014/03/22
emitaku
0
まさか、話が古代史に飛ぶとは! 史学上の文献、第一次資料をきっちりと分析したうえで、想像力をあらん限りふくらませた作者の力量と根気に、素直に頭が下がる思いです。自分の姓にも古代の職能集団をあらわす〝部〟がつく者として、がっつり楽しませていただきました。奈良大学教授のあとがきもわかりやすく、たいへんためになりました。戦国時代史と古代史を両方楽しめて、得した気分です。2011/01/01