内容説明
世間からはじき出されないことを願う理論派・伊集院光と、最初から世間からはみ出している理論超越派・養老孟司。博覧強記でゲーム好きという共通点がある二人が、世間との折り合いのつけ方を探ります。見た目が大きくて、子どものころから同級生との違いをひしひしと感じ、「世間からはじきだされることがこわかった」という伊集院さんは、不登校になった理由や落語の道に進んだわけを明かしつつ、「人間はそもそも群れの中で生きる動物。『他人に優しくなるほうが得』ということになるんじゃないかな」と語ります。一方「自分ははじめから世間から外れていた」と語る養老さんは、「都市においては、意識で扱えないものは排除されます」という都市論・世間論を展開。さらに、たまには世間から外れて世の中をながめてもいいんじゃないか、と世間から抜け出す方法を提案します。抱腹絶倒のトークから、世間とズレながら生きていくヒントが得られる一冊です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きみたけ
147
養老先生と伊集院光の対談形式による、世間とズレながら生きていくヒントが得られる一冊。世間からはじき出されないことを願う理論派の伊集院と、最初から世間からはみ出している理論超越派の養老先生の絶妙なトークが面白かったです。博識でゲーム好きという共通点がある二人が、世間との折り合いをどうつけているのか、片意地張らずに生きるヒントになりました。2022/06/05
けんとまん1007
129
まず、タイトルに惹かれた。次に、養老先生と伊集院さんの組み合わせに惹かれた。いやあ~読んでよかった。自分自身、世間からズレている部分がそれなりにあると認識していて、まあ、それはそれで致し方ないと思っているので、背中を押してもらった気分。それをそれとして、そこから見えてくるものもある。ただ、ここ数年、気になるのが、それを排除しようとするものや、それを考えすぎて自分を抑え込んでいる人が増えているのでは・・・ということ。2022/07/12
アキ
92
日本語の「人間」は中国語では「世間」という意味。中国では人は「人」。日本は「世間」という意味の中国語の言葉を「人」に当てている。その世間とは「見た目」である。五体満足でなければ共同体から外される。世間に属さない人は「非人」となる。遺体を扱う職業は世間には入らない。解剖学者もその系譜に入る。生者と死者、都市と自然、意識と無意識、秩序と無秩序、それが世間の内と外に対応する。世間の外側の人間が内側を見てその壁を書く。その壁の塀の上を歩くのが芸人。世間とのズレを語る2人の会話が心地よく何度も吹いてしまう面白さ。2021/03/25
レモングラス
76
養老孟司さんと伊集院光さんの対談。テーマは「世間からズレる」。開いた距離感で世間を冷静に見つめている養老先生と、修正を試み調整しつつ生きる伊集院光さん。養老先生の、棺桶を持って非常階段を降りた経験、解剖を終えて遺族にお骨を返しに行く時の、歩くと骨壷の中のお骨がガタガタなどを読んで、学ぶことも気づくことも読者によってそれぞれだけれど、たまに世間から抜け出す方法が見えてくる。軸を二つ作った方がいいに共感。自分の軸が揺れたらちょっと違う軸を持つ人と話してみると元気になれたりってあるし、相乗効果って大事。2023/02/02
しげ
74
伊集院光さんが先日亡くなられた6代目三遊亭円楽さんの門下生とは知りませんでした。タレントさんか脚本家さんと勝手に思っていたので、そもそも落語家出身と言うのに驚きました。養老先生の各著書も未読ですが対談モノなら人と成りを理解し易いのでは?と思い拝読しました。伊集院さんのドロップアウト経験が自分と遠からず重なり、そこから身に付いた耐性と生き方にも共感しました。養老先生の思考根源にも価値観を否定された終戦が有った事も知れて納得2023/01/15
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