新潮新書<br> 「池の水」抜くのは誰のため?―暴走する生き物愛―(新潮新書)

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新潮新書
「池の水」抜くのは誰のため?―暴走する生き物愛―(新潮新書)

  • 著者名:小坪遊【著】
  • 価格 ¥836(本体¥760)
  • 新潮社(2020/10発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784106108792

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内容説明

「池の外来種をやっつけろ」「カブトムシの森を再生する」「鳥のヒナを保護したい」――その善意は、悲劇の始まりかもしれない。人間の自分勝手な愛が暴走することで、より多くの生き物が死滅に追い込まれ、地域の生態系が脅かされる。さらに恐ろしいのは、悪質マニアや自称プロの暗躍だ。知られざる〝生き物事件〟の現場に出向いて徹底取材。人気テレビ番組や報道の盲点にも切り込む。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kinkin

107
最近はすこし減ったように思う「池の水」を抜いて外来種の駆除を叫ぶ番組。一時期は週に一回くらいどこかの局でやっていたのではないか。この本はそんなことも含め人間の偏った生物に対する愛情について書いている。カブトムシが減ったから子供たちにカブトムシを見させようと遠方から取り寄せて放した男性のSNSが炎上、ウミガメの子供を自然に返す催しが実は亀にとっては迷惑かもしれない話、自然保護といいながら鳥の写真を撮るために生息地を破壊している人々について。生物多様性という言葉だけがイイ格好して独り歩きしてるかも。2020/11/08

金吾

35
書いていることは至極ごもっともな話だと感じました。善意であっても生態系を破壊してしまっている場合があるという話は印象的でした。また自分の欲望のために野生の生き物を追い詰める人たちをどうにかして規制していくのかを見いだす必要性も感じました。ただ著者は希少生物の生息場所をSNSでのせてしまった人を批判的に書いている割には自分は記載したり、取材を勝手に申し込んで応じない相手を批判したりしている点はダブルスタンダードと傲慢さをあわせ持つマスコミのイメージ通りの人だなと思いました。 2023/11/20

Tomomi Yazaki

30
本書は、自然保護のダークサイドに落ちそれに気づかない人達の、歪んだ正義感や信念によって起こっている事実を上げている。彼らは地球の為、自然の為と謳いながら、実際には人間の為、自分の為となっているエゴに気づいていないから厄介な存在である。そんな警鐘を鳴らしている著者も又、本書の内容からは程度の差はあれ、実は人間の為というエゴの範疇にいる。結局のところ、人間を中心に考えなければ誰の関心も誰の支持も得られないからだと思うけど、本当の種の多様性や、本来の自然を素直に語って欲しかったというのが、本書への私の思いです。2020/11/16

ちゃま坊

20
外来種問題は複雑だ。動物の種によって法律が違う。地域や時代によっても考え方が違ってくる。外来種は微生物から植物、昆虫、人間の世界まで起こりえる問題。一般に数が増えると脅威となり排除の圧力が高まる。保護と駆除の正しい境界線はない。そこに住んでいる人間の都合だ。日本の猫の場合、都市部では愛護動物で殺傷や虐待が禁止されている。しかし狩猟駆除をするときは鳥獣保護法の「ノネコ」という言葉を使う。奄美のノネコ問題にも触れる。2021/01/18

anken99

11
本書では、外来種とそれをとりまく環境に対する「誤解」について、いろいろな事例を提示している。アメリカザリガニにブラックバス、アカミミガメといったあたりの「害」は誰しも耳にしたことがあろうが、彼ら自身に罪はなく、よそから持ち込んでしまうことがNG。これによって生態系が壊される。だから、カブトムシが少なくなったから、よかれと思って田舎から持ってきて森に放つのもNG。結局自然のままということがよいことらしい。ワタクシの自宅近くの多摩川は、カミツキガメなど外来種の宝庫と言われている。深く考えるきっかけになった。2021/12/13

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