内容説明
私たちの世界は、コロナ禍を経てどこへ向かうのか。ビッグデータで変わりゆく自由、プライバシー、貨幣といった「価値」を問い直し、個人の生き方を原点に共に生きる社会を提言する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミライ
36
newspicksのネット動画等に出演中の慶應義塾大学の教授・宮田裕章さん(専門はヘルスデータサイエンス)がデータ駆動型時代の現在・未来について語った一冊。宮田さんが取り組んでいる医療ヘルスケアのビッグデータのしくみや、これからのデータ統治プロセスに関しての持論が解説される。あと、宮田さんが新型コロナ騒動中に実施したLINEによる「新型コロナ対策のための全国調査」の結果・分析もあって非常に面白かった。2020/10/16
かわうそまん
16
ざっくりいうと「データを共有財としてみんなで活用しながら個別具体的な『幸福』を追求していきましょう」という主張だと読み取りました。事前に著者の最新作である「データ立国論」を読んでいたので特段目新しいことはなかったですが、著者の唱えるところを改めて理解するという意味では読んでよかったです。Covid-19により良くも悪くも世界が大きく変化していくなかで自分がデータをどのように利用するか、利用したいかということをしっかり考えておかなければ・・・と思いました。2021/06/08
奏市
16
データ革命によって生活の利便性が増すだけじゃなく、政治・経済システムまで変革することを見通した内容。貨幣のみが価値基準の経済から新たにデータも価値基準になり、前者の所有から後者の共有へと価値の所在も変わることで、従来の資本主義システムも変容していくとする。そういう側面もあるのだろうけどデータ革命がどれだけインパクトあるかをしっくり理解するには至らなかった。興味引いた話として、米国食品医薬品局は、スマホのアプリで患者サポート→健康状態改善の結果出るものを「薬」として認めることにしたと。驚き。/図書館より2021/04/13
九曜紋
9
新型コロナ感染が深刻化してきたころ、NHKクローズアップ現代+でコメンテーターとしてよく見掛けた「日本の頭脳」、宮田裕章。ヘルスケアを中心に研究するデータサイエンチスト。テレビゲームキャラのような派手な外見から、正直なところ胡散臭さも感じていたが、本書を読む限りではデータ駆動社会の問題点を的確に捉えているように思える。ビッグデータの利活用やAIの発達等、避けては通れない社会的変化やその根底にある哲学的問題をわかり易く説いている。次作にも期待したい。2020/10/20
kazuki
7
先日の衆議院議員選挙に関してデータを用いて分析していた宮田氏を見て、興味を持ち購入。データは共有財であり、データを使って、社会を駆動する価値を貨幣以外の概念に多元化していくことが理想形であるという趣旨。とは言いつつ、今はデータ分析で経済合理性を高める(貨幣を生み出す)ような社会となっていると感じる。共有財としてのデータをコントロールしつつ、データを提供する個人が貨幣以外の価値を手に入れられるような社会を実現していくことが求められていると思った。2021/11/14