内容説明
「インドネシア人」初の日本留学生、ウスマンとガウス。二人が来日したのは、一九三〇年代の日本。ナショナリズムが台頭するなか、頭山満らと出会い、大アジア主義を学び、アジア各地からの志士と交流を深めながら、インドネシア独立をひたむきに目指した。日本人女性との恋愛・結婚、特務機関への協力、独立の志士としての活動など波乱に満ちた人生を、国内外でのフィールドワークと膨大な文献から描き出す。「親日」と「反日」の間で揺れ動いた二人の軌跡から浮かび上がってくる昭和秘史。比類なき労作の誕生である。
目次
序章 「インドネシア人」初の日本留学生
「自分の意志で、自費で来ました」
二人の生い立ち
民族意識の覚醒
名古屋丸へ
大インドネシア党
船上で
「亜細亜のヤング・ゼネレーション」
「インドネシア人」初の日本留学生
第一章 帝都へ──大アジア主義との邂逅
日本政府の「アジア回帰」
ベトナム青年の東遊運動
ウスマン、ガウスへの監視
アジア主義者たちとの交流
大亜細亜協会
二人の演説
在日インドネシア留学生会、結成
ハッサンと横森、その出会い
「ジャワのガンジー」、ハッタ
ウスマンの大恋愛
貧民街の視察
第二章 特務機関──日本軍の東南アジア占領
ジャワへの上陸作戦
陸軍中野学校
ジョヨボヨの予言
連合軍への降伏勧告
軍政開始
収容所代表ウスマンと柳川
ウスマンの対日協力
帰郷
スカルノと日本軍
「インドネシア青年道場」とイドリス
第三章 対日協力──スマトラ知識人の場合
パダン宣伝班とウスマン
思惑のズレ
矢野長官
ウスマンの真意
ミナンカバウ社会調査所
インドネシア「独立」問題
スマトラ戦犯
「トラ狩りの殿様」の訪問
ガウスの対日協力
第四章 外国で闘ったインドネシア独立戦争
ウスマン一家、九死に一生を得る
戦時下の言論統制
ウスマンの「抗議」
南方特別留学生たち
「共栄圏の一員として……」
東京から甲府へ
「傀儡」への推挙
武田麟太郎の奔走
小磯声明
「独立」観の相違
スカルノの独立宣言
遠隔地ナショナリズムの高揚
ガウスの独立闘争支援
終章 建国の陰で──国際交流、そして独立のゆくえ
インドネシアと近代サッカー
ア式蹴球の普及
三国対抗親善サッカー大会
「インドトラ」の創立
七年越しで実現した帰国
新聞の創刊、そして死の訪れ
独裁の時代へ
結びに代えて
あとがき
感想・レビュー
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Ahmad Todoroki
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