内容説明
◎居酒屋に訪れたお客が話す家に帰りたくとも帰れない理由。 ◎幼稚園の先生が教えてくれた元気になれる魔法。 ◎単身赴任中の父親に娘がねだったもの。――人がいて、街があって、暮らしがある。「ありがとう」「ごめんなさい」「おつかれさま」「おかえり」……、伝わる思い、伝えたかった思い。そこで生まれた小さなドラマを切り口鮮やかに描いた101のショート・ストーリー。『ジャパン・スマイル』を改題。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
98
夕焼けに染まった電車と川面の表紙が美しい。普通の人々のささやかな幸せを丁寧に描いていく内容に好感が持てる。わずか2ページという小さなスペースにぎゅっと詰め込まれた様々な人生の断片に、胸が震えた。「洗濯」では洗濯機が壊れて風呂場で手洗いする女性が出てくる。最初は苛立っているのだが、そのうちに手を真っ赤にして洗濯してくれた母を思い出し、母の愛情の深さを改めて実感する。何気なく生きている日常生活の中にある有難さを、気付かせてくれる好短篇集だと思う。2018/04/20
takaC
51
読んだことないはずなのに既読感ありありで、八割くらい読んだところでふと裏表紙の内容紹介を見たら太字で『ジャパン・スマイル』の改題版だと書かれていた。ちょっとショック。2014/05/01
ともとも
16
短い文章の中で、登場人物が個性的に生き生きと描かれており、 さらには、人の温かさと優しさと愛情といったクリアなものを 感じさせ、感動させる。 心が温まりながらも、いろいろと考えさえられたり、生きていく 勇気や希望がわいてきたり、そんな凄くもあり、素敵な 101の物語が本当に良かったです。 2015/03/30
Te Quitor
8
ありきたり・ベタな展開の物語が2ページづつ。101個のショートショートストーリー。只今、一気読みしてしまった事を後悔中。お涙頂戴的なワンパターンものが多いので、読み飽きてしまったのだ。でも、これだけ沢山の「小さな幸せ」を描けたことが素晴らしいと思う。さり気なく描かれた小さな幸せが、読み進める事によってだんだんと蓄積し、最終的に「大きな幸せ」となって読者の心に広がる。なかなかイイ本だね。再度書くが一気読みはお勧めしない。きっと飽きるから。毎日1話づつ読み、幸せの蓄積を日課にするのも良いかもしれないね。2013/06/23
たらこりっぷ
8
はっきり言ってベタです。どこまでもベタです。たった2ページの物語。されど2ページ。このあとどうなったんだろうと、続きが知りたくなる話がいくつもありました。大泣きまではいかなかったものの、不覚にも潤んでしまい、電車の中の私は辛い花粉症のふりでごまかした話もありました。自分のおかれている立場に似ている話が多いせいかもしれませんが、ぽっと灯がともってじわっとあたたかくなります。何度も同じ話を読んで小さな幸せにひたりました。2013/04/16