イスラームの論理と倫理

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イスラームの論理と倫理

  • 著者名:中田考【著】/飯山陽【著】
  • 価格 ¥2,090(本体¥1,900)
  • 晶文社(2020/09発売)
  • ポイント 19pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784794971951

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内容説明

イスラームは、穏健で寛容で民主的な、平和の宗教か?

かたや男性・イスラーム法学者にしてイスラム教徒=中田考。かたや女性・イスラム思想研究者にして非イスラム教徒=飯山陽。ともにイスラームを専門としつつも、立場を異にする二者が交わす、妥協を排した書簡による対話。

IS、トルコ・クルド問題、アフガニスタン中村哲氏殺害、ハラール認証、イラン情勢、コロナ禍の影響……。同じトピックを論じても、これだけ世界の見方が違う。はたして日本人は、イスラームをどれだけ理解しているか?
神の前の自由・平等?
人が獲得した自由・平等?
誰も教えてくれなかった、イスラーム世界の真実をめぐる、火花を散らす対話の記録。

「20年以上前に初めて出会った時から今に至るまで、中田先生は私にとって、全く分かり合うことのできない異質な他者です。中田先生だけでなく、私は日本の中東イスラム研究業界に属する多くの研究者と、ほとんど全く分かり合うことができません。(…)私はこの往復書簡を通して、中田先生と分かり合おうとも、中田先生を説得しようとも全く思いませんでした。私の目的は、ひとつにはもちろん、それぞれのテーマについての分析を提示することですが、もうひとつは中田先生と私の議論が徹頭徹尾 み合わないことを読者の方々によくよくご覧いただき、その上で、なぜこうも み合わないのかについての理由を明らかにすることです。」(飯山陽 まえがきより)

「人文社会科学の他の分野と比べても職業的専門家の絶対数が圧倒的に少なくマーケットも小さいイスラーム研究が学問の名に値するものに成長するためには、どんなにレベルが低く誤解と偏見に満ちていようとも、イスラームを理解できない人、理解しようとも思わない人にさえも広く読まれる作品ができるだけ多く生み出され、流通することが不可欠だと私は信じています。(…)本書ができるだけ多くの読者の目に留まり、読者の中からたとえ一握りほどの数であったとしても、本書に書かれたことの背後にある「誰の目も見たことがなく耳が聞いたともなく心に浮かんだこともない」(預言者ムハンマドの言葉)広大で深淵な世界を垣間見、彼らに続こうと志す者たちが現れることを願ってやみません。」(中田考 あとがきより)

【目次】
第一書簡 あるべきイスラーム理解のために
第二書簡 イスラム国をめぐって
第三書簡 トルコ、クルド問題について
第四書簡 タイのイスラーム事情
第五書簡 中村哲氏殺害事件をめぐって
第六書簡 ハラール認証の問題
第七書簡 イラン/アメリカ関係の深層
第八書簡 コロナウイルス禍がもたらしたもの
第九書簡 トルコのコロナ対応をめぐる考察
最終書簡 インシャーアッラー それぞれの結語として

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さすらいの雑魚

40
イスラムを西欧近代文明的視点から研究してる専門家とイスラム的世界観の側から互いの違いを訴える日本人イスラム法学者のまったく噛み合わない争論集。おそらく二人の専門家の意見の隔たりは、イスラム教徒と我々先進国市民の論理や倫理の隔たりそのもので、本書を読むことでまったく異質な世界観を持つイスラム文明の存在を実感できるって仕掛けなのだろうと思った次第。イスラム専門家の2人を手玉にとって噛み合わせ自在に弄ったあげくに、まったく議論が噛み合っていない両者の論をそのまま書籍にまとめた編者の凄腕とセンスに脱帽である。2021/07/11

松本直哉

29
飯山の厳しい批判をのらりくらりとかわすのに終始するだけの中田の知的不誠実が際立つが、後者の主張に一理あるとすれば、今の世界全体を覆う領域国家幻想と金まみれの民主主義の袋小路を脱するには何か宗教的超越的なものが不可欠だということ。しかし私見ではイスラームを含めて既成宗教にそれを求めるのは無理で、中田のいう普遍的人間性を追求しようとすれば既成宗教の批判あるいは再解釈(それも女性や弱者の側からの)が必要になるのではなかろうか。たとえば先日読んだナディア・エルブガによる、コーランの再解釈のような形で。2021/10/20

BLACK無糖好き

21
イスラーム研究者同士の往復書簡のウェブ連載の書籍化。共通のテーマについて双方が持論を述べ合う形でほとんど噛み合うことはない。飯山さんの本は読んだことがなかったが、日本の中東イスラーム研究者全般に対してかなり批判的な感情をお持ちのようだ。カリフ制再興を主張する中田教授に対して批判的なのは理解できるが、日本の中東イスラーム研究がイデオロギー発露の場として反体制活動の道具になっているとの指摘は結構強烈。一方で、中田教授もハラール認証ビジネスの利権屋に対して強烈な批判をしていて、これもかなり印象に残る。2021/08/05

やまやま

19
皆さんの感想からは飯山氏寄りのものが多いようで、確かに初読は私もそう思ったのですが、本書から離れてお二人のSNSを拝見すると、若干似た雰囲気が感じられ、そんなに離れている人ではないのではとも思います。お二人ともイスラーム教徒との付き合い方は淡白なことを勧められているように感じ(もちろん中田氏は信徒なので信仰を勧められているとの理解もできますが、文章として他著ほど過激でない)、アフガニスタンについても、その後の推移がよく推測されていると思います。(よって、二人の途は分かれていくのでありますが。)2021/12/09

aisapia

18
飯山さんの話はわかりやすいが、中田さんの話はごちゃごちゃした感じでよくわからなかった。すっかり頭から抜けていたが、イスラム教の考え方は政教一致なんだ!カリフ制を目指している日本人はどこに魅力を感じているのか知りたい。自分が上位にいれる境遇だから差別歓迎ってこと?と思ってしまった。でもイスラム教徒だからって特別に怖がったりするのは違うなとは思えました。イスラモフォビアという言葉は知らなかったけど、日本人はまぁまぁこの傾向がありそうと思いました。でも今まで知らなかった考えを吸収できるのは楽しい!2021/06/10

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