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内容説明
13世紀末、現在のトルコ共和国の片隅で誕生したオスマン集団は、やがて三大陸をまたにかける大帝国となった。1453年ビザンツ帝国コンスタンティノープル陥落、1529年ウィーン包囲など、世界で最も強大な国家を築き上げ、イスラム世界の覇者として君臨した。世界史上稀にみる600年もの長きにわたる繁栄の理由は、さまざまな出自を持つ人々が活躍しえたことにあった――。優れた改革を推し進めたスルタン達、西洋列強に劣らぬ文化を確立した芸術家、そして政治に影響を与えた女性たちの活躍。多様な経歴の10の人生を通して、大国の興亡をひもとく一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
イトノコ
28
なぜかキンドル版の方で登録されていたので、登録し直し。500ページに及ぶ「オスマン帝国全史」からの再読。読書期間もながかったそちらで「この人物でてきた!」と思い出しながらお浚いすることができた。いまだドラマ「愛と欲望のハレム」は第1話で視聴停止中…。2025/05/24
サケ太
26
めちゃ面白い評伝。オスマン帝国は民族的にも宗教的にも、さまざまな「人」によって支えられたこの国。その中で、著者が三つの方針からもっとも魅力的だと思われる10人の評伝。スルタン、寵姫、芸術家、建築家、母后、革命家など。それぞれの経歴があまりにも波瀾万丈で魅力的。時代順で語られているため、オスマン帝国という国家の黎明から、終焉まで、更には現在まで続くトルコ共和国までを見ることが出来る。オスマン帝国という、様々な人間を内包した国家のなかにあってその存在感を示した人物たち。ミマール・スィナン、レヴリーに興味津々。2020/10/27
崩紫サロメ
22
中公新書『オスマン帝国』でもスルタンの年代記の形を取りながらオスマン帝国の通史を見事に描いた著者が、10人のメジャーな人物の列伝の形を取りながら、また別の角度からオスマン帝国の通史を描いている。文化人や女性に多くの紙幅を割きながら、そこから帝国全体の構造が見える描写は見事。また、近現代の国民国家の中でその人物やその出来事がどのように描いているのか(様々な議論、ドラマなどの創作物)を取り上げていて、オスマン帝国を通して現代トルコを見ることもできる。2020/10/30
ピオリーヌ
18
オスマン帝国の中から十人の人物を選び、興味深いエピソードが語られる。メフメト二世、ケマル・アタテュルク等の著名な人物だけでなく、画家のレヴニー、ハムディ、寵妃ヒュッレム、母妃キョセムら普段語られることの少ない人物も取り上げられている。オスマン帝国の近代化を支え、西洋文化を愛したハムディ、トルコ独立の父アタテュルクが妻の自由な外出を拒むなど、家庭生活においては女性が従順に従うことを望んでいたというのが印象に残った。2023/12/02
いくら丼
16
人物に着眼して点を掘り下げ、個々の時代を繋いで歴史を織る……なんと、これはイメージしやすく、読んで楽しい! と思っていたら、なんだか途中で知識がぐちゃっと絡まって、ん? あれ? と混乱してきては、ページを繰る手を前に向ける。偏にそれも、600年の長さ故としても、歯痒い気持ちは否めない。同著者の『オスマン帝国』も積んであるので、こちらも読むこととする。画家が多く取り上げられているけど、紙面上は白黒なので、色彩を言われてもわからないのが惜しい。それにしても、優れた人物は複数言語を自在に操るものだ。著者も含む。2024/02/10