内容説明
ヒトラーによる権力掌握はドイツ史の必然だったのか?
第二次世界大戦が起こった真の理由とは?
独自のヒトラー論で知られる歴史家ハフナー(1907‐1999)が、ドイツ現代史の分岐点となった数々のトピックスを取り上げ、「歴史のイフ」を考察した刺激的な一冊。
ドイツ現代史のポイントを、同時代人としての視点を織り込みながら解き明かす。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
明石です
7
最近マイブームの来ているセバスチャン・ハフナー。戦後ドイツの世論形成に大きく与したという著者の歴史眼の鋭さには舌を巻く。しかもそれが小説家顔負けのユーモラスな文体によって運ばれてくるので、気づけば一冊読み終わっていたという具合。終わりに近づくほどに淋しくなった。。私がこれまで読んだたいていの作家よりも比喩やレトリックのセンスに優れ、そして文章リズムも心地よく読んでいてまったく飽きない。歴史はあくまで文学の1ジャンルに過ぎないと主張する著者の作品らしく、歴史云々以前に、読み物として一級品の面白さだと思う。2022/04/03
しゅー
2
★★その時代を生きたドイツ人の眼から歴史を眺められる。なお「現代」と言ってもドイツが東西に分かれていた時代までの話なので、そこは要注意だ。プロイセンはかなり特殊な国家で「統治の仕組み」としては優れていたが誰も国に愛着を感じていなかったとか、ヒトラーが政権を握れた背景に男の嫉妬があるとか、「歴史エッセイ」ならではの思い切ったスタンスが面白い。だがなんと言っても白眉は、旧西独の「憲法」についての話だろう。ナチスの台頭を招いた民主主義の危うさへの反省と言う話は、まさに今のポピュリズム対策にも使える議論だと思う。2020/08/25