内容説明
本格ミステリの探偵はどのような推理をすべきか? 密室などのトリックはどうあるべきか? そして、社会とどう対峙すべきか? 戦中派の天城一と戦後派の笠井潔の作品からその答えを探し求める評論書!
天城一と笠井潔は、資質的にはよく似ている。名探偵の独特なレトリック、戦争や社会批判といったテーマの導入、トリックのバリエーションへのこだわり、ハイデガー哲学の援用、作中に取り込まれた評論等々。本書では、これらの類似点を用いて、本格ミステリの本質を考察する。
本書を書き終えた今、私が思うことは、“本格ミステリ”というジャンルの豊潤さです。天城一と笠井潔は、「テーマとトリックを連携させ、それを探偵の推理が明らかにする」という作風の物語を描いてきましたが、これは他のジャンルではできないでしょう。テーマもトリックも探偵も、本格ミステリの専売特許ではありませんが、この三つを連携させたものは、本格ミステリ以外の何ものでもないのです。そして、ただ単にテーマが作中で語られるだけの他のジャンルと異なり、探偵が行うトリックの解明によって、テーマは読者の心に深く刻まれることになるわけです。(あとがきより)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
engidaruma2006
10
天城一と笠井潔を比較し、類似点を考察しながら本格ミステリを論じている評論書。私は天城作品はそこそこ読んでいるけど、笠井作品は殆ど読んでいないので、類似点と言われてもピンと来なかったが、読み終わったら確かに似ている2人なんだなあと思えた。密室論にもなっていて、毎度の事ながらこの著者の評論は鋭い。 評論の宿命として、作品のネタバレも書かれているが、この先もおそらく読まないだろうから気にならなかった。これから読もうとしている人は注意が必要。労作ではあるけど定価三千円ねえ。売れるのか?(^-^)2020/10/14
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