内容説明
エーランド島の石切場のそばのコテージに暮らしはじめたペール・メルネル。ある日彼のもとに、疎遠にしていた派手で傲慢な父ジェリーから、迎えに来るよう求める電話が入る。渋々父の別荘に赴くと、そこに待っていたのは謎の刺し傷を負った父だった。そして直後に別荘は全焼する。なぜこんな事件が起きたのか? 娘の病気などの悩みを抱えながらも、ペールは父の暗い過去を探りはじめる――。エルフとトロールの伝説が息づく島で、人々の切ない記憶と過去が交錯する。英国推理作家協会賞受賞作家が贈る深い余韻が残るミステリ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
101
どんなに親らしくなく、碌でなしでしかなく、「二度と会いたくない」と思っても親が弱っている時は、支えてやるしかないのが子供だ。釣り合う対価と願いが叶った時の思いがけない苦さ、スウェーデンのポルノ事情がある人物に齎した喪失感が痛ましい。それにしてもヴェンデラの夫が元・心理カウンセラーにしては有り得ないほど、身勝手過ぎて呆れてしまいました。「この人、自己顕示欲だけで心理カウンセラーになれた人なんだな・・・」と分かる描写やマックスがヴェンデラに書いてもらっている本のダサすぎる題名にはうんざりしてしまいました。2016/12/27
Panzer Leader
96
エーランド島シリーズの第三作。残り少ない人生の最後の時を自宅で過ごそうと一人暮らしを始めたイェルロフはそこで亡き妻の日記を見つけて読み始める。また近隣には難病の娘を持つメルネル一家、訳ありの過去を持つ島出身の女性と料理本作家の夫の一家が新たに加わった。彼らの周りで起こり始めたキナ臭い事件、過去の出来事、エルフやトロールの伝説などが絡み合って物語が進んでいく。手放しでハッピーエンドとはいえないけれど読後感は悪くない。次がイェルロフ爺さんの最後の時と思うと読むのがためらわれる。2021/02/06
ケイ
92
エーランド島シリーズ第三弾。秋、冬、春ときて次の夏でシリーズは終わりだそうだが、いったいいつに読めることやら。一作目ではむしろ脇役に見えたイェルロフがシリーズの中心となっているも、高齢で身体もガタがきているのがハラハラさせられる。スウェーデンとは何て寒々としたところなのだろうか。人間関係にもベトベトする感じはなく、孤独なのにそれをはなから諦めているように見える。よく言えばクールなのだが。一度スウェーデンの田舎を訪れてみたくなった。2014/08/25
どんぐり
86
ポケミスNo.1870。スウェーデンのエーランド島が舞台にしたミステリ小説4部作の一冊。秋・冬・夏と読んで最後に残ったヨハン・テオリンのシリーズ〈春〉。本シリーズの特色である「過去からの呼び声」は、ポルノ映画監督の父親とブルーフィルム出演者の複数のモデル。エルフとトロールの伝説が息づく島で「放火する奴というのは、決まって自分のうちに火をつける」事件。真相に迫る出演契約の書類が燃え尽きてしまう。別荘の住人たちの伏線の回収がピタッとこない。まあ、余韻ということにしておこう。2025/09/28
おか
74
スウェーデンにも 色が其処此処に見られる春がやって来た。今回の舞台は エーランド島の乾燥しきった石切場。そして イェルロフ老船長は 老人ホームを出て 自分のコテージに帰り 一人での生活を楽しみ始める。本人にとっては 死出の準備のつもりだったが 亡くなった妻の日記を読みながら 結局 過去と現在を結びつけ 事件を解決する。元気ですよ^_^何たって 人助けの為に 自分の杖を投げつけちゃうんですから(≧∀≦)物語は 色々な人々の 色々な苦悩の果てに 其々に良い方向に進んで行った様に思う^_^2017/07/30
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