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内容説明
「われわれは、どんな過去にさかのぼっても音楽に出会う」。ビッグバンから始まった「宇宙の音楽」の歴史では、ベートーヴェンもビートルズもちっぽけな砂の一粒に過ぎない。鳥や鯨の「作曲術」から人体という楽器が奏でる音楽まで。ピタゴラスの天球の音楽からアボリジニのソングラインまで。「音」と「調和(ハーモニー)」をキイワードに壮大なスケールで描く、これまでにないユニークな書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白義
19
世界はありとあらゆる音楽に満ちている。宇宙に響く音楽、遺伝子の中に秘められた音楽、理性の表現としての音楽に政治のイデオロギー装置としての音楽……本書はそういう様々な「○○という音楽」をそれぞれのテーマから歴史を通して浮かび上がらせる、音楽史とエッセイの中間のような柔らかな読みやすさと壮大さが両立した音楽論。とても面白いのだけど、散々言われているように水からの伝言のような疑似科学に擦り寄ったり明らかに怪しいスピリチュアルへの無警戒さがやや欠点。不協和音の意義を認めない結論も偏向しているが、一読の価値ある一冊2017/10/19
吟遊
12
通常の音楽史が、作曲家の名前と作品の名前など固有名詞から成るのに対して、この本は「音楽とはなにか」をさまざまな方向から眺める。「権力」「理性」「神」「宇宙」などの観点から音楽史を見直す。それも、長い人類史のスパンから、西洋中心主義に陥らないで、音の歴史そのものを見据える。これが本書のユニークな点。他方で、帯の文句に「圧倒的教養」とあるのに笑ってしまったのだが、たしかに古今東西の著書からの引用があり、博識なのだが、それぞれの議論が深まらず、羅列に終わっており、メモ帳を読んだあとのような感じももつ。2017/02/25
左手爆弾
6
絶対にお勧めしない。むしろ、批判すべき本として挙げる。宇宙全体が音楽的調和の下にあるというのは、昔からある思想である。ただし、筆者は次々と話題を変えて、ひとつひとつを深く掘り下げていくことはしない。「圧倒的教養」と帯にあるが、教養とは情報ではない。その情報にしても、他人の書いた本を表面的に引用するばかりで、自分なりの整理や価値づけをすることはない。面白そうな話をあれこれ並べているだけ。これではダメである。2023/02/16
Decoy
6
「世界から見た音楽」「世界にとっての音楽」を、宇宙の誕生から(!)綴った、壮大な音楽史。宇宙・神・政治・権力・感情・理性・芸術・大衆・自然・人間の10の切り口から見ると、人間が音楽を作ったのではなく、人間が生まれる前から音楽があったことや、音楽がアートやエンタテインメントに止まらず、最上の知であり、宇宙や社会の成り立ちを解き明かす鍵ですらある(あった)ことが、よく分かる(最終章に、疑似科学っぽい要素が混じっていて、ちょっと残念だが…)。2016/08/06
オズ
5
天球の音楽。壮大。2019/05/21