内容説明
歌集としては異例のベストセラー。そして、映画化も決定!
いじめ、非正規雇用……逆境に負けず それでも生きる希望を歌い続け
32歳という若さで命を絶った歌人・の萩原慎一郎の歌集がついに文庫化。
解説:又吉直樹
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NHKニュースウオッチ9で「“非正規”歌人が残したもの」として紹介され、大反響。
10月16日放送、NHK「クローズアップ現代+」で特集、又吉直樹氏により大絶賛。
11月3日「朝日新聞」「売れてる本」、「日経新聞」書評欄「ベストセラーの裏側」掲載
11月20日「毎日新聞」特集ワイド掲載。
紀伊國屋書店スタッフが全力でおすすめするベスト30「キノベス!2019」、第8位。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
217
優しさ、思いやりのある歌が多かったかなとは思うけど、時には絶望的、落胆的な歌もあり、感情の浮き沈みがかなりあったのかと思う。様々な歌で萩原慎一郎という人物像が垣間見える。優しさが滲み出てる人だろうと思う。だけど、どこか不器用ですぐに疲れてしまうんだろうな。共感できる歌が多く、もうこの人の新しい歌がないのがさびしくて残念でならないです。2021/09/22
ちえ
41
気になっていた本が文庫になったことを読友さんのレビューで知った。非正規、いじめ、恋、仕事、短歌…時に自分へ切りつけるようでもありながら、時にユーモラスで、どれを歌った31文字も、読んでいる私の心にまっすぐに届いてくる。苦しさ、それでも前を向こうとする気持ちを歌に込めて自分を奮い立たせていたのかもしれない。作者の歌をこれ以上読むことができないことが本当に残念だ。でも残してくれた歌はきっとこれからも多くの人たちを励まし続けるだろう。https://book.asahi.com/article/119279692021/11/28
タルシル📖ヨムノスキー
36
正直私の中で、短歌とは、「五七五七七以外に何かルールはあったかな?」程度の認識しかなくて、だから今までいわゆる「歌集」を手に取ることはなかったし、あの大流行した俵万智さんの「サラダ記念日」を目にしても、どう味わったらいいのかわからないというか、誰かに「この歌のココがいいんだよ!」と熱く語ることができないというか…。そんな私がなぜこの本を手に取ったのか?それは一重に一万円選書の成せる技。夕日の切なさや派遣労働の現実、恋の甘酸っぱさは何となく感じ取れたけれど…。うーんまだまだ。もっと感性を研ぎ澄まさなければ。2023/09/13
Maki
34
車窓にはきらきらとした雨粒があって景色ははっきりとは見えないけど僕はなんとなく眺めていた。距離を移動しようとも時間が過ぎていこうとも、ぼくはただの僕という記号だ。いつも同じような一日が過ぎていく。何もなく終わった一日の終わりに大好きな君にただカッコいいと思われたくて歌を詠む。ことばには正直にありたい。三十一文字に翼をください。君へと翔んでいける翼を。2020/10/06
藤瀬こうたろー
32
この本のことは今年放映していたクローズアップ現代の短歌特集で知った。著者は、名門の中高一貫校に入学するも、いじめにあってしまい、それがもとで自宅療養し、大学卒業後はアルバイトや契約社員をしていた。その後、短歌で様々な賞をとり、この歌集を出版してこれからっていう時に自死してしまった。こういう背景もあって、心に傷を負いながらも生きよう、恋をしようという懸命な気持ちの入った歌を読むと、評価も多分に情が入ってしまうのは否めないが、それにしてもグッとくる。「コピー用紙補充しながらこのままで終わるわけにはいかぬ人生」2023/09/27