内容説明
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数学における「正しさ」とは何だろうか。公式や証明は絶対的に正しいもので、揺るぎない「神の知」だと思っている人も少なくないだろう。しかし数学を創ったのが人間である以上、究極的には仮説的で暫定的であることを免れない。ならば「正しさ」「美しさ」は、数学という営みにおいてどんな意味を持つのか。数学の「真の正しさ」「美しさ」に正面から対峙した稀有の書に、「数学とは何なのか」を論じる「後奏曲」を加筆した増補決定版!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kokada_jnet
74
著者の加藤氏は、私の母校の出身学科で、近年教授だった方とのことで。退官後はドワンゴ関係の数学の講義で活躍されている人とか。数学史が冒頭に少し、その後は無限の概念を用いた、数の奇妙に振る舞う世界を、ポップに紹介。相当に面白い本だが、こういう「表面的な面白さ」に踊らされて、大学で数学科を専攻して、「本物の数学的思考」についていけずに、劣等生になった自分の過去を思い出して、もやもや~と。2024/06/16
おせきはん
22
美しさと正しさが追求されてきた数学の歴史を解説しています。文系の私には具体的な数学の理論はわからない箇所も多かったものの、数学の美しさは何となく理解できました。本書を読みながら、高校時代の数学の先生が数学の美しさを力説されていたことを思い出しました。2020/08/18
kthyk
18
初読は2010年と記憶している、個人的なkindle出版のキッカケとなったからだ。理系のボンクラ、小説を読むようには、読みとれなかったが、「間奏曲:数学の美しさ」に誘惑された。・シンプルであること・普遍的であること・背景に奥深さを感じさせること・意外であること。今回の増補版の再読も理解には程遠いのだが、追加されていた「後奏曲:数学の正しさ」が面白かった。数学者にとっての「正しさの基準は一つのパラダイム」。機械が計算して出してきたことと人間の身体論の正しさとどう折り合いをつけるのか。時代はシフトしたのだ。2022/08/23
エリナ松岡
12
「はじめに」が結構堅い文章だったので難しそうだなあと恐々読んでいましたが、本編はすごく柔らかい感じでした。著者は初版当時はビール、今はワインが大好きなんだそうで。▼数学とは揺るぎない自然の法則をあるがままに機械的に拾い上げるもの、と思われがちだが実際にはもっと人間本位であり、かつ美しいものだよ、ぐらいの主張でしょうか。少し意訳しすぎな気もしますが… まあとにかく僕のようにこれまで数学に縁のなかった人にとっては数学の見方が大きく変わると思います。2020/08/03
寝子
5
2項展開を負の整数や分数に拡張するとテイラー展開の特殊な場合が出てくるところがスリリングで面白かったです。猫がまったく新しいかわいさを見せてくれた時みたい。2021/05/06