内容説明
若者の就業率、教育費負担、男女の賃金格差など先進国の中で、“最悪”の数値を示す韓国。特に「圧縮した近代」の結果、1を切った出生率、60%が無年金者という高齢者の貧困率・自殺率は深刻だ。他方で問題解決のため大胆な政策を即実行し、デジタル化などは最先端を行く。本書は、少子高齢化、貧困・孤立化、デジタル化、教育、ジェンダーをテーマに、深刻化した現状と打開への試行錯誤を描く。韓国の苦悩は日本の近未来でもある。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
63
少子化や貧困、教育にジェンダーと現在韓国が持つ問題をまとめた一冊。この様な問題は先進国は大概この問題に直面しているのではなかろうか。ただ国ごとに問題についても微妙な差異があるのは事実で、進学や就職については儒教に基づく韓国独自の問題があり、その部分は興味深く読める。あと個人的に興味があるのが、本書ではあまり触れられていないが左右の対立。特に『82年生まれ、キム・ジヨン』でフェミニズムに触れているが、この部分の男女対立とか掘り下げて欲しい。先進国ならではの問題に韓国がどう取り組んでいるか興味深く読めました。2020/08/24
おかむら
36
韓国が抱える様々な社会問題、少子高齢化、教育格差、就職難、男女格差、高齢者の貧困、デジタル化を背景から現状までわかりやすく解説。日本でもヒットしたドラマや映画や小説を例に出してくれるので面白く読める。しかしほんとに似てるとこ多いわ韓国と日本。同じ問題に立ち向かうなら、失敗例は教えあったり、良い知恵は拝借すれば良いのになあ(お互いに)。この本先月出たばっかですが、各種統計データも直近のだし、コロナ禍の対応やセクハラ疑惑のソウル市長の自殺、n番部屋事件といった旬の事件にも触れていて、正に今、読むのオススメ!2020/09/16
kan
25
夏に韓国派遣があるので予習として読了。現在の韓国の雇用、教育、ジェンダー、政治、少子高齢社会の実態が具体例たっぷりに幅広く示され、とても勉強になった。最後に訪韓したのは10年以上前だが、その頃話題だった英語教育や大学入試制度やデジタル化のその後がよくわかった。自律型私立高校の転換に関して特に気になる。今後どうなっていくのか注視したい。それにしても韓国政治の、こうだと思ったら即座に動くスピードと思いきりの良さと、国民特に女性の「声を上げて勝ち取る」風土には恐れ入る。2024/06/05
あまね
21
子供の影響で韓ドラを見始めて、はや数年。面白い韓ドラに出会うと本を読む量がグッと減ってしまいます。韓国ではドラマが政治を動かしたり、メッセージ性が高いものもたくさんあります。けれど、コチラの本を読んで老人の無年金、教育格差、若者の就職難等々、韓国の格差は想像以上に大変なのだと思いました。それでも政府が失敗を恐れず、次々と政策を進めていく姿は日本も参考になることが多々あると思いました。日本で二転三転した大学共通テストも遡ること数年前に韓国で同様のことが起こっていたとは!多岐に渡りバランスの取れた良書でした。2021/05/13
さとうしん
17
少子化、年金制度など老後の生活の不安、キャッシュレスや住民登録番号など各分野での電子化、過酷な受験競争、ジェンダー、韓国社会が置かれている様々な問題を、対岸の火事としてではなく、日本も直面している、あるいはこれから直面するであろう問題として読み解く。アジア通貨危機によって、女性の進学や就職に対する意識が激変したという話が印象的。我々は同様の危機に直面して変われるのだろうか?2020/09/28
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