内容説明
「ハルマゲドンがついに勃発するんだ」。十文字源皇は吼える。青年幹部・太田慎平に非合法活動を委ね、銃の製造やサリン生成にも突き進んでゆく〈真言(マントラ)の法〉。一方、幸田侍従長は四面楚歌に陥り、児玉警部は権力者たちの暗闘に翻弄されはじめた。そして、サリン撒布計画が発動する――。騙し合い。裏切り。空虚な死の連鎖。男たちが見た甘美な夢の結末は。呪詛と慟哭の完結篇。(解説・村上貴史)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
363
下巻も800ページ超。大作である。しかも、ひじょうに優れたヴァイオレンス・ノワール小説だ。小説の全体は一貫して二層構造を取る。すなわち、警察機構のノワールと隠されたヴァイオレンス、そして教団においては、妄想を限りなく膨らませてゆく教祖と、それに盲目的に従ってゆく信徒たちのノワールとあからさまなヴァイオレンスと。それを描いてゆく馳星周の筆力は迫真力に満ちている。とりわけ「ポア」の場面のそれは、息詰まるを超えて息苦しくなるほどだ。あらゆる組織が、その本質において抱え込まざるを得ない闇を見事に描き出したと思う。2018/11/06
Tetchy
38
この狂気のテロ集団の物語はオウム真理教がモデルになっている。もしかしたら今ここでさえ、第2のオウム真理教が生まれている可能性がある。この物語は一介の新興宗教がテロ集団になっていくプロセスを語ることで、我々にこのように人間は操作され洗脳されていくことを眼前に示し、警告を促しているようにも思える。しかし物語の結末は何とも消化不良。これはその後のオウム真理教の末路を知っているから、それ以降は書くべきことはないと作者が判断したのかもしれない。この割り切れなさこそ、あの事件そのものを表しているように思えるのだが。2013/12/16
外枠発走
18
上下巻合わせて、1600ページ。どんな結末が待っているのだろう。そんな期待がやや裏切られた感がある。ただ、展開的にしょうがないかなという感じ。好き嫌いはあれでも、完成度は高い作品。2012/01/08
ぱどり
15
再読。陥れ、陥れられ、拷問し、拷問され、殺し、殺される。 読むのに体力がいります。2017/06/04
田中峰和
10
宗教に縋るのは人間の弱さのせいなのか。とくに新宗教は金儲け、権力欲、現世利益を追求するものが多い。ノンキャリアの児玉は金に目が眩み、侍従長の幸田は教団のトップを狙う。慎平だけは無欲なようだが、解脱への欲望が強くグルの魔手から逃れられない。十文字の歓心を曳くため、おべっか使いだけが身分上昇し、疎外された幸田はグルの暗殺を謀る。権力闘争は政界、警察組織、本書の真言の法でも共通で児玉も幸田も殺人さえ厭わない。大本を題材にした「邪宗門」は天皇崇拝の軍国主義に弾圧されたが、真言の法は教祖の狂気に自滅した。2020/03/03
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